「陽性だったらどうするの?と聞いたんです。テレビのカメラが入っているから、逃げも隠れもできないでしょ。そうしたら『いいよ、もしもエイズでも、私はエイズらしく生きるから』ときっぱり言っていた。かっこいいんですよ。性に悩める女の子たちに手を差し伸べるアダルトショップなどの事業開始も目前で、愛ちゃんはその新しい仕事が始まるのを、それはそれは楽しみにしていましたからね。自殺だってありえない」

 訃報のあとしばらくは、赤枝さんの診療所は飯島さんのファンの女の子たちの聖地に。「愛ちゃんもここに座ったんですね」と、待合室に座りに来る女の子もいたという。

「でもね、愛ちゃんが亡くなってからの10年間、日本での新規感染者及びエイズ患者は、毎年約1500人ずつ増えているのに、一方で検査をする人は減っているんです。12月1日の世界エイズデーの話題も、年々少なくなっていますよね。これからも愛ちゃんの思いを、今の若い人たちに伝えなければいけないですね」

(文/福光恵)