この後、棚橋は度重なる故障など紆余曲折あった。復活を期してタイトルに挑戦するたびに、オカダやその他挑戦者から「IWGPは遠いぞ」と、逆にこのセリフを投げつけられることになる。ある意味、新日本復活を象徴する名言ともいえる。

 テレビの影響もあり、過去の名、珍『問答(やり取り)』が注目されるようになった。

「僕は自分の明るい未来がみえません!」(鈴木健三・現KENSO)を生み出した『猪木問答』。

 横で聞いていた蝶野正洋も笑ってしまった「時はキタ!」(橋本真也)。

 テレビ朝日アナウンサーとのやり取りを繰り広げた『大仁田劇場』。

 冒頭の『コラコラ』以外にも、世間を巻き込んだ『問答(やり取り)』は数えきれない。プロレスの面白さや深みの無限大の可能性が見えてくる。

 素人が真似できない鍛え上げられた肉体、極限の技術と受け身、そして激しいリング上の戦いはプロレス最大の見せ場。同時に『問答(やり取り)』など、ファイト以外でも楽しめるのもプロレスの良さ。今後も数多くの歴史的『問答(やり取り)』が生まれて欲しい。(文・山岡則夫)

●プロフィール
山岡則夫/1972年島根県出身。千葉大学卒業後、アパレル会社勤務などを経て01年にInnings,Co.を設立、雑誌『Ballpark Time!』を発刊。現在はBallparkレーベルとして様々な書籍、雑誌を企画、編集・製作するほか、多くの雑誌、書籍、ホームページ等に寄稿している。Ballpark Time!公式ページ、facebook(Ballpark Time)に取材日記を不定期更新中。現在の肩書きはスポーツスペクテイター。