その理由が私にはすぐわかりました。男性は半身が不自由で、タンスの引き出しが開けづらかったのです。

 おまけに片方の手では畳むことができないので、そもそも畳んで衣類をタンスにしまうことが不可能でした。やむなく衣類はクリーニング店のように、ぶら下げるか、そのへんに放っておくしかなかったわけです。

 それにしても、なぜ部屋のあちこちに衣類がぶら下がったり、散乱しているのか、男性の生活動線を考えてみて、理由がわかりました。

 洗濯機がある場所と、衣類をしまう場所が遠すぎたのです。洗濯したものは洗面所からリビングを通って、その奥にある和室まで持っていかなければなりません。タンスがある和室がそもそもの衣類の定位置だったからです。

 そこで私は洗面所の隣にある寝室だった部屋を部屋ごとウォークインクローゼットに変え、寝室は一番奥の和室に移動しました。つまり洗濯機のある洗面所の隣が新しく誕生したウォークインクローゼットになります。

 そしてウォークインクローゼットにはハンガーラックを持ち込み、洗濯した衣類はすべてそこで干せるようにしたのです。干した服はそのままラックにぶら下げておけば、その部屋で着替えることができます。

 さらに奥の和室にあったタンスは処分し、タンスの中の下着、靴下、パンツは三つの「ざっくりBOX」にそれぞれ分け、押し入れのふすまを取り去って、押し入れの中段に置きました。

 ざっくりBOXとは、その名の通りとりあえず放り込める箱のこと。ここでは取り出しやすいように下着、靴下、パンツと分けて三つの箱を用意していますが、どうしてもスペースがない人はひとつの箱にポイポイ入れる形でもいいでしょう。

 ふすまがないので、押し入れの前を通るとき、洗濯した下着や靴下、パンツをそのままポイポイ、ざっくりBOXに投げ込むだけですみます。

 身につけるときも、ざっくりBOXから選べばいいだけなので、1秒で手に取れて、ひじょうに楽です。