最近お菓子が小さくなったり値上がりしてない? 話題のMMTがもたらすのは絶望の未来か…

朝日新聞出版の本

2020/11/19 08:02

日本銀行本店=東京都中央区 (c)朝日新聞社
日本銀行本店=東京都中央区 (c)朝日新聞社

 いま、異端の経済理論「MMT」が大きな注目を集めている。巨額の債務を抱える日本でありながら、「インフレにならない限り財政赤字は問題無い」と説き、さらなる財政出動を促す。経済政策にまで掲げる政党も登場した。

 日本財政や将来年金の末路を100以上のデータをもとに徹底検証した『キリギリスの年金 統計が示す私たちの現実』(朝日新書)で、MMTの持つ危うさに繰り返し警鐘を鳴らす弁護士の明石順平氏が特別に寄稿した。

*  *  *
 MMTとは、Modern Monetary Theory(現代貨幣理論)の略です。これは端的に言うと、「自国通貨建ての国債はデフォルトにならないので、インフレにならない限り、財政赤字は問題無い」という主張です。だからもっと借金して財政支出をたくさんしろと言うのです。しかし、これは全く真新しいことを言っていません。

 自国通貨建の国債の場合、市中消化しきれなくなれば、最後の手段として自国の中央銀行に直接引受をさせれば、形式的にはデフォルトを避けることができます。

 ところが、それをやると事実上政府の裁量で通貨を発行し放題になることを意味します。すると、為替市場の参加者達は「円がたくさん発行されて円の価値が下がるぞ」と予想し、円が売られてしまいます。そうなると円安インフレが発生します。円安インフレが進行し過ぎると、それに合わせて財政支出を増やさないと追いつかなくなります。そこで財政支出を増やすと、また「円の価値が下がるぞ」と思われてやはり円が売られて円安インフレが悪化します。

 このように、財政支出増大→インフレ→インフレに合わせて支出増大→さらにインフレ進行→インフレに合わせて支出増大→さらにインフレ進行という無限のスパイラルが発生するのです。これが理解できないので、ベネズエラではずーっとこのスパイラルが止まらず、インフレが進行しっぱなしです。

キリギリスの年金 統計が示す私たちの現実 (朝日新書)

明石 順平

amazon
キリギリスの年金 統計が示す私たちの現実 (朝日新書)
1 2 3

あわせて読みたい

  • 英国の10年ぶり利上げに日本が学ぶべきこととは?
    筆者の顔写真

    藤巻健史

    英国の10年ぶり利上げに日本が学ぶべきこととは?

    週刊朝日

    11/16

    円安を乗り切る! 「パンより米」で生活防衛、投資先は「海外売上高比率」に注目

    円安を乗り切る! 「パンより米」で生活防衛、投資先は「海外売上高比率」に注目

    週刊朝日

    5/2

  • 「日本破綻」を生き抜くボーナス運用術
    筆者の顔写真

    藤巻健史

    「日本破綻」を生き抜くボーナス運用術

    週刊朝日

    12/24

    日銀が破綻しお金が“紙くず”になる日が来る? 生き延びる方法は? 藤巻健史×原真人緊急対談

    日銀が破綻しお金が“紙くず”になる日が来る? 生き延びる方法は? 藤巻健史×原真人緊急対談

    週刊朝日

    12/3

  • 円安はどこまで進むのか 専門家が夏場までに“140円程度”、秋以降は“円高”と予想するワケ

    円安はどこまで進むのか 専門家が夏場までに“140円程度”、秋以降は“円高”と予想するワケ

    週刊朝日

    6/27

別の視点で考える

特集をすべて見る

この人と一緒に考える

コラムをすべて見る

カテゴリから探す