共通テストの複数日程は、受験生への救済措置となるのだろうか。

 予備校講師の吉田弘幸さんは「第2日程の時間的メリットは限定的」と話す。吉田さんは大学教員や予備校講師が中心となって立ち上げた「入試改革を考える会」の一員。同会はコロナ禍により学校教育に影響が出たことを受け、大学入試の実施時期を遅らせることなどを提案。9月10日には、共通テストの第2日程と特例追試の中止を求める声明を文科相宛てに提出した。

「異なる日程の試験の難易度が同レベルに保証されているとはいえません。さらに特例追試となると問題の仕様が違う。つまり最初から『共通』ではない試験。これは大学入試のあるべき姿ではありません」(吉田さん)

 共通テストについては、ほかにも懸念事項がある。文科省は各大学に個別試験での出題範囲への配慮を求めたが、共通テストに関してはそれへの言及がない。また、この冬、新型コロナウイルスの感染が爆発的に広がった場合、共通テストの実施中止も心配される。

「受験生の不安を払拭できるよう、そうした緊急事態への次善策をできるだけ早く表明してほしい」(同)

(文/稲田砂知子)

※『AERA English (アエラ・イングリッシュ) 2020 Autumn & Winter』より