「世界最重量硬骨魚」としてギネス世界記録に認定された、1996年8月16日に千葉県鴨川市沖の定置網で漁獲された2300kgのウシマンボウ。3つの矢印はウシマンボウの形態的特徴を示す。(c)鴨川シーワールド
「世界最重量硬骨魚」としてギネス世界記録に認定された、1996年8月16日に千葉県鴨川市沖の定置網で漁獲された2300kgのウシマンボウ。3つの矢印はウシマンボウの形態的特徴を示す。(c)鴨川シーワールド
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 私は来年以降の収入のあてがない求職活動中のマンボウ研究者である。マンボウ研究をもっと発展させていきたいが、減りゆく貯金に精神が病まないかと今から怯えている。本記事の執筆も続けていきたいので、是非、応援・ご支援よろしくお願い申し上げる!

【写真】125年ぶりに新種発見!謎多きカクレマンボウ」の生態

 さて、前回、「ハシブトガラスが座礁したヤリマンボウを食べ、海と陸の生態系は想像以上に複雑に繋がっている」というスケールの大きな話をした。

 今回もその「大きな」話題を引き継いで、今年発売の『ギネス世界記録2021』にも掲載されている「世界最重量硬骨魚」についてお話ししよう。

■マンボウ属が持つ3つの世界記録

 1995年、『The Guinness Book of Animal Records』という英書が発売された。「ギネスブック」と言えば「世界記録」と連想されるように、これは動物の様々な世界記録がまとめられた本である。驚くべきことに、マンボウ属魚類はこの本の魚類の項目に3回も登場していた。

 1つ目は「Largest bony」のカテゴリーで、1908年にオーストラリアのバードアイランド沖で、蒸気船フィオナとぶつかって、そのまま陸に運び込まれた体重2235kgの個体が世界最重量硬骨魚として掲載された。

 2つ目は「Most eggs」のカテゴリーで、1.37mのメスが3億個の卵を(卵巣内に)持っていたとして、最多の卵数を持つ魚として掲載された。魚類より多い卵数を持つ他の脊椎動物は確認されていないことから、マンボウ属は脊椎動物最多の卵数を持つといわれることもある。

 3つ目は「Greatest size difference」のカテゴリーで、同種の中で生まれた仔魚(2.54mm)と成魚(4m)のサイズ差が一番激しい魚として掲載された。

 これら3つの世界記録は、本の中ではマンボウMola molaとして扱われているが、ページ数の都合で記録の元となった引用文献は省かれており、確認することができない。実際はウシマンボウMola alexandriniやカクレマンボウMola tectaであった可能性もあるため、本記事では属レベルとして扱った。これら3つのマンボウ属の世界記録のうち、「世界最重量硬骨魚」としての記録は15年経った現在もギネス世界記録に載り続けている。私の研究チームはこの記録の修正に大きく関与したので、その裏話を紹介しよう。

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「世界最重量硬骨魚」が抱えていた問題