―引退の時期や引退後のネクストキャリアについて考えることはありますか?

 僕は目などの大きなけがをしてしまったらやめようと考えています。ボクシングのけがは命に関わるものが多いので、脳や目をやられてしまうと引退後の人生にも影響を及ぼす。周囲でも、そういったけがでやめる人もいれば、「1度敗戦したら辞める」という人もいます。ボクサーは1試合に人生の全てを賭けているので、いくら強くて何十戦無敗を積み上げていても、1度負けたら全てが燃え尽きてしまう。そういう世界なんです。

―将来の不安は感じますか?

 ボクサーをやめた後の生活について考えると正直不安ですね。プロ経験のある人のなかでもトレーナーになれるのはほんの一握りです。教えられる生徒も肩書きがあるトレーナーじゃないとついてこないので、チャンピオンの経歴がないとなかなかトレーナーにはなれない。僕はトレーナーよりも、飲食店など開業できたら、と考えています。

―次は世界戦が期待されていますが、試合の予定はありますか?

 世界ランキンクは11位まで上がりました。世界ランキング15位以内に入るとチャンピオン選んでくれたら世界タイトルマッチもできる位置です。まずはコロナが収束すれば海外、特にアメリカで試合のチャンスがあればと願いますが、そのためにも日々の練習を頑張ります。

<プロフィール>
よしの・しゅういちろう/プロボクサー。1991年生まれ。栃木県鹿沼市出身。三迫ジム所属。作新学院ボクシング部時代にインターハイ・国体・選抜で優勝し高校4冠、東京農大ボクシング部では国体二年連続準優勝を果たす。大学卒業後、約2年のサラリーマン生活を経て、2015年プロデビュー。17年日本ライト級にて王座獲得。19年、OPBF東洋太平洋・WBOアジアパシフィックライト級王座獲得、20年9月、3タイトルを賭けた防衛戦で勝利し、日本ライト級王座では6度の防衛に成功した。

(聞き手・原田加菜)