29歳の三浦春馬さん。ドラマ「TWO WEEKS」の会見では笑顔を見せた(c)
29歳の三浦春馬さん。ドラマ「TWO WEEKS」の会見では笑顔を見せた(c)

20歳のころの三浦春馬さん(c)朝日新聞社
20歳のころの三浦春馬さん(c)朝日新聞社

 今も、多くの人に影響を与え続けている三浦春馬さん。急逝して2カ月以上が経つが、ドラマの公開や再放送、映画の公開決定が相次ぐ。長年のファンのみならず、作品を通してあらためてその魅力に気づいた人も少なくないだろう。インタビューや対談記事に残っている「本人の言葉」をひとつひとつ拾い、その人生に迫ってみたい。

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 三浦春馬さんの最後の主演映画「天外者(てんがらもん)」が12月に公開される。三浦さんが演じた役は、幕末から明治に生きた実業家五代友厚。共演者の蓮佛美沙子さんは次のようなコメントを映画の公式サイトに寄せた。

「作品の中にいる春馬くんは五代友厚そのもので、何より瞳を覗き込めば、そこに五代の全てが在りました。彼が五代として生きたその時間を、作品を、愛してもらえたらと心から願っています」

 五代という役柄と三浦さん自身が重なる部分があったのかもしれない。天外者とは、凄まじい才能の持ち主という意味。志と熱意で激動の時代を生きた人物として描かれているという。

 三浦さんも才能やルックスに恵まれただけでなく、努力の人でもある。特に20代半ばからは、演じる役の幅を広げ、殻を破ろうとしていたようにみえた。何を見据えて、どのように努力を重ねていたのか、三浦さんの発言から振り返りたい。

 子役出身の三浦さんは、10代半ばまでは演じることがただ楽しかったのだという。その心境に変化が現れ始めたのは20歳ごろ。連続ドラマ「陽はまた昇る」に出演し、映画「東京公園」が公開された21歳のときには、過去を冷静に振り返り、自分の中の変化の兆しについて言及していた。

「以前は感覚でやっちゃったり。あんまり考えずに、監督が言うことを消化してパッとやっちゃえばいいやみたいな時期もあったんです。でも、作品の扱うテーマがむずかしくなった分、役と向き合う時間が増えました」(サンキュ! 2011年8月号/21歳)

「ここ、一、二年くらい自分の中で役のビジョンをはっきりさせることを意識するようになってきました。監督から“ここはどう思う?”って聞かれる機会が増えたからからなのかもしれません。聞かれたらそれに答えたいじゃないですか」(non・no  2011年8月号/21歳)

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さわやかな役だけの人にはなりたくない