――掲げてきた「地方創生」については大きなパラダイムシフトには至っていない。総理自身として、どう評価しているか。

安倍首相:確かにパラダイムシフトが起こるところまではきていないわけであります。景気回復期には、どうしても東京に人口が集中するという傾向にあったわけでございますが、今回の安倍政権の期間における景気回復期においても、増えてはいる東京への集中というのは歯止めはかかってはいないのですが、そのスピードは相当鈍らせることはできたのではないかと思っています。東京から地方に移住したいという方の相談を受けるところにおいては、今まではだいたい60代以上が中心だった。一線を退いてから年金生活に入るときに、「もとのふるさとに戻ってみよう」という方が多かった。今は現役世代、50代以下の方々が多くなってきました。つまり地方にチャンスがあると思う方がでてきたのかなと思います。そしてパラダイムシフトが起こるとすると、いままさに3つの密を避ける中においてテレワークが進むことと同時に、地方の魅力が見直されていると思います。また足元で20代の若者の地方への転職希望が大幅に増加しているという調査もあります。今後、日本列島の姿、国土のありかたを今回の感染症を根本的に変えていく可能性もあるんだろうと思います。ポストコロナでの社会像をみすえて、現在、みらい投資会議で議論をスタートしておりますが、こうした大きな変化を生かしていきたいと思っております。

――任期中には安全保障関連法で国民の意見を二分することもあったが、総理自身はどのように平和と向き合ってきたか。次の政権に平和や反戦、核兵器廃絶など託していきたいことはどのようにお考えか。

安倍首相:核兵器の廃絶は私の信念であり、日本のゆるぎない方針でもあります。この方針は当然、次の政権でも引き継がれていくものだと思います。平和の問題でありますが、残念ながら世界ではまださまざまな地域で戦闘がおこり、巻き込まれる方々、子どもたちもいます。それをいかになくしていくかという問題でありますが、まさに世界が協力をしながら平和をつくりだしていくという努力をしなければいけませんし、平和を維持していく努力をしなければいけません。同時に、残念ながら我が国の近くに、核開発をすすめ、日本を射程に収めるミサイルの開発を進める、北朝鮮もそうです、そうした国からしっかりと日本を守り抜いていかなければなりません。そのためにこそ日米同盟はあるわけで、同盟の絆を強くすることによって日本を攻撃しようという気持ちに相手をさせないという抑止力になっていく。抑止力というのは戦争をするためのものではなくて、戦争を防ぐためであります。そうした努力もしながら、また核の廃絶についても、核兵器国と非核兵器国の橋渡し役を日本がおこないながら、唯一の戦争被爆国として核の廃絶に向けた努力を行っていかなければならないと思っています。

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