水野美紀さん
水野美紀さん

イラスト:唐橋充
イラスト:唐橋充

 42歳での電撃結婚。そして伝説の高齢出産から2年。母として、女優として、ますますパワーアップした水野美紀さんの連載「子育て女優の繁忙記『続・余力ゼロで生きてます』」。コロナとの攻防が続く日々。不安を抱えながらも日々を楽しむようにしている水野さんだが、コロナと同じように「気が抜けない」出来事が……。

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*  *  *

 コロナとの攻防が続く中、私は現在9月半ばに幕が開く予定の芝居の稽古をしている。稽古場は厳戒態勢だ。検温消毒換気マスクにフェイスシールド。食べ物飲み物は各自持ち込み。飲み食いは会話せずに速やかに済ませる。稽古が終わったら速やかに帰る。

 帰宅したら玄関から風呂場に直行。稽古外の時間でも不要不急の外出は極力避ける。

 常につきまとうコロナに、ずっと真綿で首を締められているような不安を感じて、もやもや気持ちが晴れないが、それでも人間慣れてくるものである。少しでも蒸れにくいマスクを探して試したり、毎日違うお茶を水筒に入れて飲み比べしたり。この環境の中でも楽しめる事を見つけられるようにと、考え方を変えるようになってきた。

 定期的に窓を開け放って空気を入れ替えるのは気持ちがいいし。何より、こうして稽古ができるのは幸せなことだ。

 この間も日々感染者数は変動しているが、我々は粛々と稽古しながら無事に幕が開く事を祈るしかない。

 8月21日からは、「浦安鉄筋家族」の放送がリスタートする。

 撮影中断、緊急事態宣言、家解体、新居発見、撮影再開、涙のクランクアップ、放送再開←まもココ。

 撮影再開したものの梅雨の時期にどんかぶり。晴れ間を待つなんて時間の余裕も無かった我々は、多少の雨ならば「降ってませんけど」という顔で強行し、土砂降りならばしれっと傘をさして強行し、急に雨が止んだら「止んだな」と言いながらそっと傘を畳んで強行し、とにかくクランクアップに漕ぎ着けた。

 あ、そもそも家の間取りが変わってしまっているという強行も。

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水野美紀

水野美紀

水野美紀(みずの・みき)1974年、三重県出身。女優。1987年にデビュー。以後、フジテレビ系ドラマ・映画『踊る大捜査線』シリーズをはじめ、映画、テレビドラマ、CMなど、数多くの作品に出演。最近では、舞台やエッセイの執筆を手掛けるなど、活動の幅を広げている。2016年に結婚、2017年に第一子の出産を発表した

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