歯周組織再生療法の適応は主に中等度の歯周病の患者さんです。重症の場合、歯の動揺が大きいため、歯が手術の負担に耐えられない可能性が大きく、無理におこなうと歯を失う危険があります。つまり、重症になる手前で受けることが大事です。一方、軽症の場合、歯槽骨の量はまだ、十分に保たれているので再生療法を受ける必要はありません。

 治療ができるか、できないかを決めるもう一つの基準として、残っている歯槽骨の形がどのようになっているかによります。歯槽骨の破壊は歯に沿って縦方向に破壊されている「垂直性の骨吸収」と横方向に破壊されている「水平性の骨吸収」の2タイプがあります。

 歯周組織再生療法の適応になるのは「垂直性の骨吸収」です。現在の治療法は残っている歯根膜などからの細胞に働きかけることで再生をうながすため、水平性の骨吸収に対しては再生をおこなうことが難しいのです。

 このほか、治療ができるかどうかを決める要素として、歯を支えている歯槽骨の状態や根分岐部病変の重症度などがあります。これらを総合的に判断し、治療効果を検討します。

■歯周組織再生療法の3つの方法

 現在、おこなわれている歯周組織再生療法は「GTR(Guided Tissue Regeneration)法」や「エムドゲイン」、「リグロス」を使用する方法の3つです。それぞれの治療法を紹介していきましょう。

【GTR法】
 GTR法は特殊な「膜(メンブレン)」を使っておこなう治療法です。手術で歯肉を開いて歯周ポケット内にあったプラークや歯石を取り除くと、歯周病により破壊され、凹んだ状態の歯槽骨があらわれます。

 歯周病の原因であるプラークと歯石が取り除かれると歯周組織(歯肉と歯槽骨など)は治癒しようとします。しかし、歯根膜やセメント質、歯槽骨よりも歯肉の増殖スピードのほうが圧倒的に速いため、歯肉上皮由来の細胞で修復が完成してしまいます。歯槽骨があったはずのすき間を歯肉が埋めてしまい、骨が再生されるスペースがなくなってしまいます。

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歯周組織の再生は手術を受けた直後から始まる