新型コロナウイルス感染拡大という誰も予想できなかった事態によって、35周年を祝うはずのツアーが延期になってしまった歌手・渡辺美里。しかしライブ以外では、書籍『ココロ銀河~革命の星座~』やファン投票によるベストアルバム『Harverst』のリリースなど、むしろその活動は勢いを増しているように見える。デビューから35周年、渡辺美里が目指す現在の音楽のかたちとは。
【写真特集】渡辺美里デビューから現在までの貴重な写真はこちら
※「小室哲哉も岡村靖幸も小林武史も…歌手・渡辺美里が日本音楽界に与えた衝撃 <デビュー35周年秘話>」よりつづく
* * *
■近年のコラボレーションと、触媒としての渡辺美里
渡辺美里が近年行ってきたさまざまなアーティストとのコラボレーションは注目に値するだろう。2000年代以降に渡辺美里に楽曲を提供してきたアーティストには、GLAYのTAKUROやコブクロの小渕健太郎、サンボマスターの山口隆、NONA REEVESの西寺郷太、Caravan、真心ブラザーズなど、そうそうたる面々が並ぶ。
なかでも、GLAYのリーダーであるTAKUROは渡辺美里ファンを公言しており、GLAYのファンクラブ限定ツアーのタイトルに『10years~あれから10年も、このさき10年も~』と渡辺美里の楽曲『10years』のタイトルと歌詞を引用したほどだ。
コブクロの小渕健太郎も小学生時代からの渡辺美里ファンであり、小渕の強い希望でテレビ音楽番組での共演が実現(『悲しいね』をデュエット)。その後、2度の楽曲提供、西武球場ライブのゲスト出演へとつながった。
さらに、こちらは正確にはコラボレーションとは言えないが、韓国の人気DJであるNight Tempoが『My Revolution』をリミックスし、2019年のFUJI ROCK FESTIVALでプレイし、会場を大いに盛り上げたことも音楽ファンの間では記憶に新しい。この時の様子を大谷ノブ彦(ダイノジ)は「2019年夏の最大の衝撃」と表現している。
先にも述べたように、活動初期には小室哲哉や岡村靖幸、伊秩弘将など、のちにJ-POPの中心になる人物が渡辺美里への楽曲提供を通して大ブレイクしていったわけが、もしかすると彼女には、他のアーティストたちの才能を引き出してより輝かせる触媒のような力があるのかもしれない。