清水氏はさらに「株式会社ポピンズと同じく株式会社キッズライン、この二者と小池知事はどのような関係なのか」と質問を重ねたが、小池知事は「ベビーシッターの利用支援事業者の15の中の2つ」という回答に終始し、「関係性」については言及しなかった。

「この回答では、何か答えられない理由があると推察されても仕方がない。シッター事業では、利用者と事業者の間に厚い信頼関係がなければならない。(キッズラインが)事件を起こしたら、本来はペナルティーを与えるべきで、認定事業者から外すのが当然です」(清水氏)

 キッズラインは内閣府の「ベビーシッター派遣事業」の割引券取扱事業者にもなっている。これはシッター利用者に対し、児童1人につき1回あたり2200円の割引券を支給する制度。こちらは東京都の支援事業とは異なり、マッチング事業者にも適用される。

 認定事業者は73社(2019年10月時点)で、そのうち、2社(キッズラインとネクストリート)は、マッチング型の事業として認定されている。1年ごとに更新が必要だが、一度認定されて引き続き事業参加を希望する場合は、手続きを大幅に省略して申請をすることができる。

 取材に対して内閣府の担当者はこう答えた。

「現時点では、(認定を外すか否かといったところまで)話が進んでいない。会社としてではなく、登録シッターが起こした個人の逮捕事案のため、即座に取り消しとまではならない。今後、再発防止の対策をとる気配がなかったり虚偽の発言ばかりするなど会社として問題があるとなれば、(取り消しも)検討する」

 同じ企業の登録シッターから2人の逮捕者が出ても、企業として「問題がない」と言えるのか。その点について問うと、

「事件が続くような場合は検討しなければならないが、今のところ直ちに取り消すといった話にはなっていない」(担当者)

 こうした政府の対応に疑問を呈するのは、立憲民主党の岡本あき子衆議院議員だ。

「『保育の質』という担保があっての助成金です。助成金を出している以上、野放しにするのではなく、事件が生じた原因を行政機関がきちんと調査するべきです。今は国会閉会中なので、まずは党内の『子ども子育てプロジェクトチーム』で勉強会を行い、この事件についてきちんと議論をしていく。助成の在り方や保育の質の向上について議論を進め、党としての方向性を出す。そして必要であれば、法案の作成や制度改正などを求めていきたい」

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「電力会社でいえば原発事故のようなもの」