日本のフランス料理のレベルの高さにひかれて来日し、修行を積んだ。日本のフランス料理店で働くことが夢だったという。

「残念。もう少し給付が早くて高ければ、踏みとどまれたかもしれない。日本で働きたかった」。

「お役所」の書類は日本人でも理解しづらい日本語が並んでいることが多いが、外国人にとってはこの「言葉の壁」が、給付までの大きなハードルになっている。

 インド出身の会社員・シャルマさん(44)は、日本人の友人の助けを借り、オンラインで申請をした。当初は自力で記入しようとしたが、フォームに英語版がないことに驚いたという。難しい言葉が多く、ふりがなも振っていないため、内容が理解できない。写真を撮って翻訳アプリにかけてみたが、文章に違和感があるため正確な理解は難しかった。

お金のことだから、あいまいな理解なまま申請するのは不安だし、ちゃんと進めたい。自分は日本人の知り合いがいたから助かった。一人でやっていたら絶対にできなかった」

 英語教師のジョン・アンスティスさん(28)も、漢字が読めないため、日本人の友人の助けを借りた。申請書には、チェックマークを付ける項目がいくつもあるが、危うく「受給を希望しない」という項目にチェックをつけそうになったという。「漢字が読めない僕らにとって、あれはトラップだよ」と話した。

 取材した外国人からは「YouTube上の解説動画を参照してみたが、自治体によって用紙の形式が違うため、あまり参考にならなかった」という意見もあった。他にも、「何の封筒かわからなかった」「チラシと間違えて捨てるところだった」といったように、「不十分な周知」を訴える声も聞かれた。

 はたして、行政による外国人へのサポートは、十分と言えるのか。

 冒頭のラブルさんが住む東京・江戸川区の担当者は「区独自のサポートとしては、ホームページ(HP)の多言語表記のみ。全国一斉の対応なので、国を中心に周知やサポートを行っていると思う」と回答した。

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総務省は「自治体に任せている」と突き放す