

給付の遅れなど多くの問題が指摘されている、10万円の特別定額給付金。4月27日時点で住民基本台帳に登録されている外国人も給付の対象となっているが、日本語に不慣れな外国人が自力で申請するには、あまりに難しい仕様となっている。政府や自治体のサポートも不十分で、申請ができない外国人もいる。
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フランス出身で大学生のコンスタンス・ラブルさん(22)は今年1月中旬に来日した。早々にコロナ禍となりアルバイトが見つかっていないため、現在の収入はゼロ。フランスにいる家族の支援で何とか生活を続けている。できる限り早く10万円が欲しいと言うが、6月10日時点で申請用紙はまだ届いていない。
受給の条件は満たしているはずなのに届かないのが心配になり、同日、最寄りの東京・江戸川区役所に駆け込んだという。着いて早々、どのセクションへ行けばいいのかわからなかったため、受付の女性に尋ねた。英語が通じないことが分かり、ネットの画像検索で入手した申請書の画像を見せて目的を伝えた。
該当のブースに通されたが、ここでも英語が伝わらない。外国人専用の電話窓口を紹介されるだけで、結局申請書は手に入らなかった。
紹介された電話窓口に相談を試みたいものの、ラブルさんは日本の携帯番号を持っていないため、まだかけられずにいる。今後、うまく申請書を手に入れたとしても、携帯番号が無い状況では「連絡先」の項目をどう埋めればいいのか分からない。
「いい支援で助かるのだけれど、道のりは長い。『hard to get』ですね」
給付スピードが遅いことは国会でも問題視されているが、外国人にも影響が及んでいる。
中国出身のソン・モウトウさん(24)は、10万円の給付を前に母国に帰国せざるを得なかった。
3月に調理学校を卒業し、4月からフランス料理店で働くことが決まっていたが、コロナの影響で「当面の延期」に。留学生ビザの期限が切れてツーリストビザに切り替わったため、仕事の開始を待つ間にアルバイトをして生活費を稼ぐことができない。苦渋の決断の末、内定を白紙に戻し、実家に帰ることにした。