3年連続でトップ10に名を連ねているのは丸、秋山、坂本、鈴木の4人となった。丸は2017年、2018年と2年連続MVPにも輝いているが、打撃、守備、走塁の全ての面で最もバランスよく評価が高かったのは2017年だ。2018年は打撃の指標を大きく伸ばしたが、守備と走塁は低下している。巨人に移籍した2019年は守備面で改善がみられたが、走塁は更に悪化したのが気になるところだ。同じセンターの秋山も2017年が最も良い数値となっており、そこから守備面が年々後退している。今年からアメリカに活躍の場を移したが、不安要素があるとすると守備面なのかもしれない。

 内野手で唯一3年連続トップ10入りを果たしたのが坂本だ。WARの指標では昨年が最も高い数字となったが、これは完全に打撃面でのプラスが大きい。その一方で守備に関しては2018年まで高い水準を誇っていたが、昨年は大きく数字を落とした。この傾向が今年も続くようであれば、ショートとして厳しいという話にもなってくる。丸とともに巨人のセンターラインの守備は、近い将来大きな転換期を迎えることになりそうだ。

 そんな中、唯一上昇傾向にいるのが鈴木だ。2017年8月にプレー中の怪我で離脱し、翌年がその影響もあって守備、走塁面で数字を落としたが、昨年はいずれの指標も高水準をキープして、見事に野手全体でトップとなった。またライトはWARを算出する際の守備位置補正でマイナスとなる不利なポジションであるが、それでいながらこれだけ高い水準をキープしているのはさすがと言える。今年で26歳という年齢を考えても、まだまだピークはこの先にあると考えられる。近い将来、ポスティングシステムを利用してのメジャー移籍が既定路線と見られているが、どの程度の評価になるかは今から見ものと言えるだろう。

 今後のことを考えると、鈴木以外にコンスタントに上位に顔を出す可能性が高いのが、昨年2位の数字をマークした森になるだろう。捕手という負担の大きいポジションながら、昨年の打撃指標では鈴木、吉田、山田、坂本に次ぐ数字をマークしている。また、あまりクローズアップされていないが、走塁面でも高い数値を叩き出している。今年で25歳とまだまだ若いだけに、守備面で更なる進化を見せることができれば、プロ野球ナンバーワンキャッチャーは森という時代がまだまだ続くことになりそうだ。

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WARの指標には欠点も…