コロナが原因で経済的に困窮する人、女性や娘を持つ親、性サービス業に従事している人、など多くの属性の人々を敵に回す発言であったと思います。それでも、岡村さんに対するバッシングは通常の炎上よりも過激だったと思います。

 これは、世間がストレスによりフラストレーション(不満)を抱えている状態で、いわばサンドバッグを探している状態だからです。簡単に言えば、「憂さ晴らし」や「ガス抜き」をする対象を探しているのです。

 岡村さんへの誹謗中傷や悪口や侮辱的な発言は、まさに「ネットいじめ」の構図で、オンライン上で集団リンチをしているような状態でした。

 岡村さんに対するスポンサーサイドの意見の全てを把握することはできませんが、例えばスポンサーの一人である高須クリニックの高須克弥院長は、岡村さんからの謝罪を受け入れて応援すると発言していました。関係者の間では、この問題への謝罪や反省はすぐに受け入れられたのだと思います。

 同じように世間の「ガス抜き」として横行しているのが、「自粛警察」や「私刑」と呼ばれる行為です。「自粛警察」とは、警察ではない民間人が、自粛要請下でも営業している店舗を見つけ、張り紙で休業を促したり、店の前で抗議したり、嫌がらせや業務妨害になりうる行為などをして休業を過剰に要求することを指します。

 新型コロナ下における「私刑」とは、感染者やその家族を特定し、個人情報を共有したり流出させ、感染者であることを理由に差別したり嫌がらせをする、いわば村八分のような状態に追い込むことです。

 ネット上での誹謗中傷、自粛警察や私刑行為は、人の命を脅かす悪質な行為です。以前コラムでも書きましたが、ネット上での誹謗中傷で心を病み、自殺したアイドルがいます。文字で人が死ぬ時代です。オンライン上で集団リンチをして殺害したのと同じことです。

 自粛警察についても、ある飲食店の店主は、コロナ禍による売り上げ減少ではなく、休業を求める過剰な嫌がらせ行為で心を病んで自殺したという情報もあります。これが事実だとしたら、集団でいじめて自殺に追い込んだ殺人です。

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