西武黄金時代の後に、圧倒的な打力でパ・リーグを席巻したチームとして思い浮かぶのは2001年の近鉄ではないだろうか。そんな“いてまえ打線”の代表格と言えるチームの主なオーダーは以下の通りである。

1番:大村直之 160安打16本塁打53打点5盗塁 打率.271
2番:水口栄二 117安打3本塁打30打点1盗塁 打率.290
3番:ローズ 180安打55本塁打131打点9盗塁 打率.327
4番:中村紀洋 168安打46本塁打132打点3盗塁 打率.320
5番:礒部公一 172安打17本塁打95打点7盗塁 打率.320
6番:吉岡雄二 121安打26本塁打85打点2盗塁 打率.265
7番:川口憲史 113安打21本塁打72打点0盗塁 打率.316
8番:ギルバート 68安打6本塁打24打点3盗塁 打率.267
9番:的山哲也 41安打5本塁打25打点1盗塁 打率.177

 打線の中心はローズ、中村の二人。ローズはこの年、当時日本タイ記録となるシーズン55本塁打を放ち、高打率もマークして見事MVPに輝いた。中村もそんなローズを上回る132打点で打点王を獲得。まさに球団の看板としての活躍を見せた。5番以下の磯部、吉岡、川口も長打力は申し分なく、全員が70打点をクリアしている。また2番の水口はこの年リーグトップの38犠打をマークしており、意外に手堅く走者を進める面もあった。8番ギルバート、9番的山の成績は少し物足りないが、劇的なリーグ優勝決定サヨナラ満塁ホームランを放った北川博敏や、長打力が魅力の鷹野史寿がベンチに控えており、打者の層の厚さも感じるチームだった。

 2001年の近鉄の後に強力打線を売りにリーグ制覇を達成したのがダイエーだ。特に日本一に輝いた2003年はあらゆる意味で歴史に残るチームだった。

1番:村松有人 150安打6本塁打57打点32盗塁 打率.324
2番:川崎宗則 145安打2本塁打51打点30盗塁 打率.294
3番:井口資仁 175安打27本塁打109打点42盗塁 打率.340
4番:松中信彦 160安打30本塁打123打点2盗塁 打率.324
5番:城島健司 182安打34本塁打119打点9盗塁 打率.330
6番:バルデス 141安打26本塁打104打点1盗塁 打率.311
7番:大道典嘉 103安打4本塁打51打点0盗塁 打率.281
8番:柴原洋 142安打4本塁打53打点11盗塁 打率.333
9番:鳥越裕介 56安打1本塁打25打点5盗塁 打率.212

 大道と鳥越以外の7人が規定打席に到達し、打率3割以上をマークした選手は実に6人。リーグの打率トップ10にも5人がランクインしている。特に中軸の安定感は驚異的で、4人が100打点をクリアしており、これは今までのプロ野球の歴史の中でもこの一回だけである。更に特筆すべきは長打力だけではなかったという点だ。村松、川崎、井口の3人が30盗塁以上をマークしており、下位にも二桁盗塁をマークした柴原がいるなど機動力も強力だった。一つ残念だったのは小久保裕紀が故障で不在だったこと。もし小久保がサードで一年間フルにプレーしていたら、更に得点力がアップしていたことは間違いないだろう。

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近年でも史上最強クラスの打線