海外ではキックやMMAの選手がボクシングの試合をしたり、格闘技団体「ONE Championship」の大会でWBCスーパーフライ級王者(当時)シーサケット・ソー・ルンヴィサイ(タイ)が防衛戦を行ったりといった例はあるが、日本ではボクシングコミッションが他競技との両立を原則として認めておらず(※ヘビー級と女子に関しては部分的に許可)、このルールが変わらない限り日本で“プロボクサー那須川天心”は見られそうにない。

 RIZINでキックマッチを確立させたように、ボクシング界から呼ばれるような存在になりたいと那須川はかつて話したが、一方で自らのホームリングである「RISE」への愛着は深く、自身の手でキックボクシングをより広めたいという思いも強い。

 昨年は大会の優勝賞金を寄付するなど言動も社会性を増してきて一般層の認知も向上、いち格闘家を超えた存在になってきている那須川。はたしていずれかのタイミングでボクシングに転向を図るのか、あるいは世界、より広い層に向けキックボクシングを広めるために動いていくのか。「誰もやったことのないことをやりたい」と常々口にするだけに、こちらの想像を超えてくるかしれない動向を我々は見守る以外にない。

 神童の行く道は神童のみぞ知る。 (文/長谷川亮)