試合は下からの腕十字を極められかけるも、この危機を脱しパウンドでTKO勝ち。そしてマイクを持つと2日後の大晦日大会にも出場を希望し、さっそくMMA第2戦を行うと今度は前方からのアームトライアングルチョークで一本勝ちを収めた。

 2017年、那須川はキックボクシングとRIZINにおけるMMAでの戦いを続行。これによりRIZINにおける自身のポジションを確たるものとし、17年のRIZIN大晦日大会では「KICK ワンナイトトーナメント」の開催を実現する(那須川が2戦2KOで優勝)。

 那須川は自身の活躍で道を切り開き、2018年に入るとRIZINではキックルールの試合が毎大会組まれるようになる。同年9月にはRIZINのエース・堀口恭司とキックルールで対戦し、チケットが完売状態となる反響を呼ぶ(那須川の判定勝ち)。

 そして何と言っても世間を驚かせたのが18年大晦日のフロイド・メイウェザー・ジュニア戦。試合は非公式のスペシャルエキシビションではあったが、同年発表のスポーツ長者番付でトップに立ったメイウェザーと戦い、世界に那須川の存在を知らしめることとなった(那須川にタオルが投入され1Rで試合終了)。

 2019年はAbemaTVの企画でボクシングの元世界三階級王者・亀田興毅と対戦(6月22日)。これまで関係者から高い評価を受けながらメイウェザー戦では十分発揮できずに終わったボクシング技術をこの試合では存分に披露する。試合はKO決着のみで、両者が既定の3Rを戦い切ったため勝敗つかず。しかし那須川が亀田を圧倒する場面もあり、改めてその神童ぶりを印象づけた。

 2016年末から2017年にかけ、キックとMMAを並行していた那須川だが、MMAは17年10月の藤田大和戦(判定勝ち)を最後に行っていない。また、18年にはボクシングトレーニングを積む姿を追う『VS那須川天心 2ndシーズン』(AbemaTV)が放送され、「いずれ行くかもしれない」と本人もボクシング転向の可能性を語ったが、メイウェザー戦に亀田戦といった非公式試合こそあれ、実現には至っていない。

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今後、那須川天心が目指す道は?