このように大学によって活用状況が違うので、受験生は進学を希望する大学の入試情報を確認する必要がある。

■新しい共通テストは読む・聞くに集中

 民間試験に話題が集中しがちだが、来春始まる共通テストでは、「外国語」の一つである英語の内容や配点が変わる。センター試験は筆記が200 点、リスニングが50 点の配点だったが、それぞれ100 点ずつに変更され、筆記はリーディングという名称に変わる。

 河合塾で入試問題の分析を担当する下松(くだまつ)淳子さんは、試行調査(プレテスト)をみて「その名の通りリーディング、リスニングの2 技能に明確に絞った問題構成になった」と解説する。

 これまでのセンター試験で必要とされた語彙、文法などの知識・技能に加え、共通テストでは思考力・判断力・表現力がより一層必要となるという。

「英語を実際にどう使うかが意識された問題と言えます。出てくる語彙を分析すると中学校で習う語彙が重要なことがわかります。さまざまな英文素材が扱われ、表・図・グラフの情報を読み取る力も必要となり、総語彙数も多くなりました。今まで以上に知識・技能がないと厳しいでしょう」

 共通テストの配点は大学独自で決められる。東京大はセンター試験ではリスニングを課していなかったが、共通テストではリーディング140 点満点、リスニング60 点満点に換算して利用することを発表した。鹿児島大はおもに160:40 の配点にするという。

「急にリスニングの配点を大きく変えるのは受験生への負担が大きい。試験時間がセンター試験と変わらないのでなおさらです。学習指導要領が新しくなる現在の中学1 年生が受験する年度になるときに1:1 にするのが公正ではないかと現在のところ考えています」(竹内准教授)

(文/稲田砂知子)

※「AERA English 2020 Spring & Summer」から抜粋