立命館小学校英語科教諭の正頭英和さん(写真提供:学びを探究するメディア「Q」)
立命館小学校英語科教諭の正頭英和さん(写真提供:学びを探究するメディア「Q」)
正頭さんの著書『世界トップティーチャーが教える 子どもの未来が変わる英語の教科書』(講談社)。AI時代に必要な教育・子育てを考える一冊
正頭さんの著書『世界トップティーチャーが教える 子どもの未来が変わる英語の教科書』(講談社)。AI時代に必要な教育・子育てを考える一冊

 新型コロナウイルス感染拡大で休校が長引き、小学生は在宅学習を余儀なくされ、不安の新学期を迎えている。先が見えない中、「わが子の勉強は大丈夫なのか」と、焦りを募らせる親は多い。学校再開までの期間、家庭でできる学びとはなにか。家庭学習のポイントや心構えについて、「教育界のノーベル賞」ともいわれる「グローバル・ティーチャー賞」のトップ10に選出された立命館小学校(京都府)英語教諭・正頭英和さん(37)が語る。

※本記事は、東京のPTA有志による活動「学びをとめるな!」の一環として、4月22日に催されたzoom講演会の内容を構成したものです。

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「米ハーバード大が『外出自粛は2022年まで必要』と予測するなど、コロナによる世界的危機の長期化は避けられないでしょう。まさに『コロナの時代』といえます。親は『早く学校が始まるといいな』と思うのではなく、『学校が何をしてくれて、何ができないのか』を明確にし、家庭で補
える部分を分析しなくてはいけません」

 正頭さんの勤務先の立命館小学校では、休校中の4月からオンライン学習支援が進められている。だが、オンラインの対面指導を取り入れる自治体は全国で5%にとどまるなど、取り組みには大きな差がある。そんな「コロナの時代」に負担を強いられる親たち。一体どうしたらいいのか。

「精神的に落ち着かない状況で、子どもに『勉強しなさい』といっても無理。まずは心と体の健康を確保しましょう。習慣化してほしいのは3つ。室内でも適度な運動をすること、生活リズムを整えること、毎日体重を測って健康管理することです。また、休校によってクラス替えや席替えがなくなり、新しい人間関係が生まれる機能が失われています。SNSで既存のつながりを維持することも大切ですが、どんな新しい人間関係が生まれるか、親がフィルターを張る必要があるでしょう」

 家庭学習には、親が意識するべきポイントがいくつかある。「親はぜひ、学習はアウトプットで強化されるということを知っておいてください」と正頭さんは言う。

 学びには「聞く」「読む」といったインプットと、「話す」「書く(まとめる)」「行動する(アサガオを育てる、観察する等)」といったアウトプットがある。

「インプットとは、おもに学校での学びです。オンライン授業やワークシートを解くのもインプットです。子どもが読書やプリント学習していると親は安心しがちですが、本来学びというのはアウトプットがあってこそ成り立つものです」

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