■配信系では「テラハ」も収録中止

 こうしたなか、休業を余儀なくされているタレントや人気芸人たちはこぞってユーチューバーデビューしている。

「今年に入り、芸人ユーチューバーは相当増えましたが、コロナショック以降も千原ジュニア、FUJIWARA原西、品川庄司、ダイアンなどが進出。収録が飛んで暇なのか、どれも相当な力の入れようです。吉本興行はカジサック(キングコング梶原)の成功以降、社内にもユーチューブの担当者を増やしており、広告収入の配分も芸人に少し有利なようです。そのぶん、芸人自らがスタッフを雇ったり、企画を考えたりしなければならないのですが、チャンネル登録者数が50万人を越えると相当安定した収入になります。今回のコロナ騒動でバラエティ番組の在り方が大きく変わりますから、芸人ユーチューバーが急増するのは確実でしょう」

 芸人に加え、最近では仲里依紗や柴咲コウ、伊勢谷友介など俳優陣も続々とチャンネルを開設。コロナに加えて今年は5G通信が本格始動するため、テレビ離れが進んでユーチューブがメディアの中心に来ることも考えられる。

 TVウオッチャーの中村裕一氏は、コロナ禍のテレビ業界をどのように見ているのか。

ドラマやバラエティの制作現場は従来のような仕事のやり方を根本的から変えることを余儀なくされています。ネットフリックスやアマゾンプライムビデオなどの配信サービスでも、キラーコンテンツの1つである恋愛リアリティショーの『テラスハウス』が撮影と配信が休止するなど、ダメージが大きい。一方で、テレビのおよそ10分の1以下のスタッフ数で作られているユーチューブなどの動画コンテンツは、今後ますますニーズが高まり、カジサックやエガちゃんねるに続けとばかりに、芸能人の動画への流出は止めることができないでしょう。今後、アフターコロナをどう迎えるかが語られていくと思いますが、旧態依然だったテレビ業界に一体どのような変化をもたらすのか、非常に興味深いところです」

 いまだ終息の気配が見えない新型コロナショック。こういうときこそ笑いや感動を与えてほしいものだが、現状ではなかなか難しいのかもしれない。まずはテレビ業界の現場が安全に復旧することを祈るばかりだ。(藤原三星)

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藤原三星

藤原三星

ドラマ評論家・芸能ウェブライター。エンタメ業界に潜伏し、独自の人脈で半歩踏み込んだ芸能記事を書き続ける。『NEWSポストセブン』『Business Journal』などでも執筆中。

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