第七世代の筆頭霜降り明星(C)朝日新聞社
第七世代の筆頭霜降り明星(C)朝日新聞社

「お笑い第七世代」の勢いが止まらない。一昨年あたりから第七世代と呼ばれる若手芸人が次々にテレビの世界に名乗りを上げ、頭角を現してきた。彼らはお笑いコンテストで優勝したり、バラエティ番組を席巻したりして、日に日に存在感を強めている。

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 そして、ついにこの春からは第七世代をメインにしたレギュラー番組が始まる。4月5日スタートの『第7キングダム』(日本テレビ系)である。レギュラー陣は霜降り明星、ハナコ、EXIT、3時のヒロイン。レギュラー放送に先立ち、3月22日には特番が放送されていた。

 これだけではない。3月26日には『7G』(フジテレビ系)という特番が放送された。これはアイドルとお笑いの新しい世代(7G=7th Generation=第七世代)がスターを目指してさまざまなチャレンジをする番組だ。これまでにも何度か単発で放送されていた。芸人代表としては四千頭身、さや香、さすらいラビーが出ている。今回はそこにすでに売れっ子である宮下草薙が加わっていた。

 3月30日には『お笑いG7サミット』(日本テレビ系)が放送された。もちろんこちらの「G7」も第七世代を意味している。出演者は、霜降り明星、ガンバレルーヤ、エイトブリッジ、かが屋、四千頭身。彼らが自ら企画した笑える動画を持ち寄るという番組だった。

「第七世代」を意味する単語を番組名に入れて、第七世代の芸人が複数出演する番組が続々と放送されている。この現象はお笑い界でも過去に例がなかったことだ。1990年頃に当時の若手芸人の総称として「お笑い第三世代」という言葉はあったが、一部の雑誌などで使われていただけで、一般的に浸透した言葉ではなかった。第七世代はすでにお笑い界で一大勢力となっている。彼らの勢いはどこまで続くのだろうか。

 特定の世代の若手芸人によって引き起こされたお笑いブームというのは、過去にも何度かあった。例えば、『タモリのSUPERボキャブラ天国』で若手芸人が出演するコーナーが話題になり、ボキャブラブームが起こったことがあった。このときには、この番組に出ていた若手芸人がアイドル的な人気を博していた。だが、それらはだいたい一過性のものであり、ピークを過ぎるとブームは終わってしまった。

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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第七世代には文句なしの実力を備えた芸人がいる