ここ数年、次世代の若手芸人を集めて、新しい才能を発掘することをコンセプトにするような番組が軒並み失敗していた。

 例えば、2017~2018年に放送されていた『AI-TV』(フジテレビ系)では、霜降り明星、四千頭身、ゆりやんレトリィバァなど第七世代の芸人が出ていたのだが、番組自体はさほど話題にならないまま終わってしまった。若い芸人が出る若い世代向けの番組は、これまでの視聴率調査の方式では数字が取れない番組だと思われていた。

 だが、これからはそこが変わる。高齢者にそっぽを向かれて世帯視聴率が低くても、個人視聴率で若者に支持されていることがはっきりすれば、それもきちんと評価されるという時代になった。これは第七世代の芸人には間違いなく追い風になる。

「第七世代」という最高のキャッチコピーによって、彼らの人気は一時のブームを超えた広がりを見せている。この火を絶やさないためには、過去の『めちゃ×2イケてるッ!』『はねるのトびら』などに匹敵するような、第七世代の拠点となるような番組が必要だ。『第7キングダム』がそういう番組になるのか、別の番組が新たに出てくるのか。

 新型コロナウイルス関連で暗いニュースが目立っている中で、新しい世代の芸人には新しい希望を見せてほしいものだ。(作家・ライター/お笑い評論家・ラリー遠田)

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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