だが、第七世代のブームは今のところ長く続いている。その理由の1つは、彼らの多くが人気だけではなく実力も備えていて、しっかりと地に足のついた活動を続けてきたからだ。

 例えば、ボキャブラブームの時代に売れた芸人の多くは、キャリアの浅い駆け出しの若手芸人だった。彼らは一時的に波に乗って若い女性ファンにもてはやされたものの、あとが続かなかった。その後もテレビで長く生き残ったのは、爆笑問題、くりぃむしちゅー、ネプチューンといった確かな実力のある芸人だけだった。
 
 第七世代の芸人の中には『M-1グランプリ』『R-1ぐらんぷり』を制した霜降り明星を筆頭に、文句なしの実力を備えた芸人がいる。実力が伴っているからこそ、その勢いがなかなか落ちていかないのだ。

 さらに、もう1つの事情として、テレビ業界の構造的な変化がある。テレビ視聴率調査を行っている株式会社ビデオリサーチが、3月30日から調査方法をリニューアルした。具体的には、これまで関東地区、関西地区、名古屋地区、北部九州地区だけに限られていた機械式個人視聴率調査をその他の地域にも拡大することになった。また、関東地区、関西地区の調査世帯数が従来の2倍になり、より数字の制度が増した。

 変化によって何が起こるかというと、テレビ局が世帯視聴率だけではなく個人視聴率も重視して番組作りをするようになる。

 従来は世帯視聴率だけが重視されていた。この方式では、1世帯につき1人でも見ていれば視聴率にカウントされていたため、単純に頭数の多い高齢者に向けて番組を作ることが高視聴率を取るための必須条件になっていた。

 だが、個人視聴率では個々人が見ているかどうかがカウントされるので、高齢者以外でも特定の世代に刺さる番組が数字を取れる可能性が出てくる。広告を出稿する広告主の立場でも、個人視聴率の方がターゲットとなる視聴者層に届いているかどうかが明確になるため好都合なのだ。個人視聴率は少し前から導入されていたのだが、今回のリニューアルによってさらにその重要性が高まる。

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視聴率で評価されれば間違いなく追い風に