僕がはじめて偽セブン-イレブンを目にしたのはパキスタンだった。2年前のことだ。ペシャワールのバスターミナルの建物のなかにその店はあった。上から黄色、緑、赤の帯の中央に7。遠くから見るとセブン-イレブンと錯覚するが、7がまったく違った。

 昨年末、サハリンのコルサコフという港で偽セブン-イレブンを見た。最初は、「ロシアにもセブン-イレブンがあるのか」と思ったが、なにか違う気がした。帰国後、日本のセブン-イレブンの前で、サハリンで撮った写真と比べてみると、中央の緑帯の幅が広く描かれていた。そして上に書いてあるロシア語を翻訳アプリで読んでみた。

「ミニストップ」
「………」

 ロシア人もぱくりを気にしているようだった。ここまで変えれば問題ないだろう……と。

 かつてのマクドナルドとケンタッキーフライドチキンが、いまはセブン-イレブン。この変化ってなんだろう。日本のセブン-イレブンの前で考え込んでしまう。

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下川裕治

下川裕治

下川裕治(しもかわ・ゆうじ)/1954年生まれ。アジアや沖縄を中心に著書多数。ネット配信の連載は「クリックディープ旅」(隔週)、「たそがれ色のオデッセイ」(毎週)、「東南アジア全鉄道走破の旅」(隔週)、「タビノート」(毎月)など

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