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無観客決勝だったR-1ぐらんぷり 「面白くなかった」と叩かれるワケ

連載「道理で笑える ラリー遠田」

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ラリー遠田:作家・ライター/お笑い評論家dot.#ラリー遠田
『R-1ぐらんぷり2020』で優勝したマヂカルラブリーの野田クリスタル(c)朝日新聞社

『R-1ぐらんぷり2020』で優勝したマヂカルラブリーの野田クリスタル(c)朝日新聞社

 ひとり芸の大会『R-1ぐらんぷり』は、漫才の大会『M-1グランプリ』やコントの大会『キングオブコント』に比べると世間の認知度や注目度が低く、やや地味な印象がある。

 決勝を見た視聴者の中には「面白くなかった」と不満を漏らす者もいる。中には、優勝した人のネタについて「どこが面白いか分からない」「こんなのは芸じゃない」といった感想を述べる人もいる。

 なぜ『R-1』ばかりがこんなに叩かれがちなのか。それは恐らく、楽しみ方が少し分かりにくいからだろう。『R-1』の公式サイトには大会内容として「優勝賞金500万円を目指して、ひとり芸で誰が一番おもしろいかを決める大会」と書かれている。

 この「ひとり芸」という記述が曲者だ。ここで書かれていることを文字通り解釈して、『R-1』は1人の演者による「芸」を競い合う大会であると考えて見てしまうと、やや拍子抜けしたような印象を受けることがあるのではないか。

 例えば、何十年もキャリアを重ねている一流の漫談家、落語家、講談師に「『R-1』に出てくれませんか?」と声をかけたとしたら、その人は出場するだろうか。仮定の話だが、恐らく大半の人は断るのではないかと思う。過去に伝統的な漫談家や落語家が出場した例がないわけではないが、目立った活躍ができている人はほとんどいない。

 彼らが普段やっているような芸を見せるためには「3分」という『R-1』の制限時間は短すぎるのだ。寄席や劇場では15~20分の持ち時間で少しずつ空気を作ってネタを演じるのだが、3分では何もできない。マラソンランナーが100メートルに挑んでもいい結果が出せるはずがないのだ。

 つまり、『R-1』は「ひとり芸の大会」と銘打たれてはいるが、実際には芸を見せる大会ではない。むしろ、芸かどうかを問わず、何でもありの笑わせ合いをする、というのがこの大会の本質なのだ。

 一度に舞台に上がれる人数は1人だけ、という制限があり、あとは何の制限もない。どんな小道具を持ち込んでもいいし、どんな音楽や映像を使ってもいい。何やってもいいから笑わせる。それが『R-1』の出場者には求められている。この大会では、とにかく現場を盛り上げて笑わせた人が勝つのであり、優れた芸を見せた人が勝つわけではない。


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