夏にはオリンピックもあるけれど、世の中が浮足立つようなら、その流れに乗って、楽しい一年を過ごしたほうが得だよ。高齢者も年のことばかりを気にして自分にブレーキをかけたら、楽しいことなんて見つからない。残りの人生がどれだけあるかなんて誰にもわからないんだから。世の中が浮かれてたら楽しく過ごす、この風潮でいいと思うよ。俺はもう、そういう境地に達したからね(笑)。それでダメならじっとしていればいいんだよ。

 去年は思いもかけない病気にもかかったけれど、医者にも診てもらっているし、健康に不安はない。でも、ちょっと体幹が歪んできたかな。ここにきてプロレスを引退する選手も出てきたけれど、練習を止めると体幹が緩むから、それまで筋肉がサポートしていた部分に弊害が出てくることがある。まあ、これは俺のなかでは受け止めていることだけど、もう一回自分の身体を作り直して、杖を付いたり女房の手を借りたりしなくてもいい状態にまでもっていきたいよね。だって、大きな図体をして周りに気を遣われるのは、自分自身歯がゆいもの。だから、肉体面を鍛え直す日々はくるはずだ。まあ、新年の意気込みとしては、こんなところかな。

 そういえば、女房と娘が、「面倒臭がりの天龍を外に連れ出す特効薬は仕事しかない」っていうから、「温泉の企画ならいいよ」って言ったんだよ。そうしたら、「せっかく洋服を着る仕事を増やしたのに、また裸になるの」だって(笑)。よし、温泉とお酒のレポートをしよう。そのときに作るのは……ビールをワインで割って、そこにウコンも混ぜた健康にもいい究極のお酒がいいね。身体に良いものばかりを寄せ集めた、令和バージョンの天龍カクテルだ(笑)。

(構成/小山暁)

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天龍源一郎

天龍源一郎

天龍源一郎(てんりゅう・げんいちろう)/1950年、福井県生まれ。「ミスター・プロレス」の異名をとる。63年、13歳で大相撲の二所ノ関部屋入門後、天龍の四股名で16場所在位。76年10月にプロレスに転向、全日本プロレスに入団。90年に新団体SWSに移籍、92年にはWARを旗揚げ。2010年に「天龍プロジェクト」を発足。2015年11月15日、両国国技館での引退試合をもってマット生活に幕を下ろす。

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