現実になるかどうかは別として、うちは今でも家族のみんなが正月に一年の抱負を話すよ。「年の初めに口にしたことは守りたい」っていう、妙な気持ちになるじゃない。やっぱり日本古来のしきたりに沿う行為には、達成感が生まれるから。新年にやるべきことはやったし、後悔の念はないっていうやつだ。「俺はこれだけきちんとしたし、もしも厄災が振りかかっても耐えられるはずだ」ってね。

 極端な話を言えば、この歳で何かの計画を立てて、それが実行できるとは限らないからね(笑)。そのときどきで転がっていけるように、自分がうまく立ち回っていければ、本当にしめたもの。それで一年をうまく乗り切って、最後に年末を迎える。これはすごく大事なことだよ。計画を達成できなかったりすると、目標との落差を感じてしまうことがあるから。俺みたいに日々を平穏に過ごして、その結果を判断すればいいやという考え方のほうが、やっぱり気が楽だよ。

 今年はどんな年にしたいかって? それはもう、つつがなくというか(笑)。毎回話すけど、常々新しいことに挑戦してみたいとは思っているんだよ。でも、「じゃあ何がやりたいの?」って聞かれると、何も思い浮かばない。一般的にみて、70歳を迎えた人は、「残りの人生を考えて、シビアに物事を捉えていこう」と思うのか、それとも、「70歳まで生きられたし、これからの人生を再構築しよう」となるのか、果たしてどっちなんだろう。

 芸能界だって、80歳を超えたあたりが大体のボーダーラインで、ギリギリの終着点じゃない。それは俺自身も意識しているし、そうするとあと10年。だから今は、「10年間を悔いのないように、やりたことをやって生きる」ということしか考えられないな。それは家族はもちろん、友達との付き合いや、世の中との関わり方すべてにおいてね。

 でもね、今年は俺が想像している以上に、周りも騒がしくなりそうだ。俺の引退から5年が経つし、娘が代表を務める天龍プロジェクトも発足して10年になる。娘からも、「『いろいろと動かされるんだろうな』という覚悟だけはしておいて!」って忠告されてるし、追い込みのムチが入るのか……早くも疲労困憊だ(笑)。

次のページ
「令和の天龍カクテル」が完成!?