可愛いけどザワつく、寺田心くん (C)朝日新聞社
可愛いけどザワつく、寺田心くん (C)朝日新聞社

 年末から年始にかけて、やたらと見かけたテレビCMのなかに、子役タレント・寺田心のものが何本もある。ブックオフの「心くんの指導~タピオカ~」編「同~大盤振る舞い~」編などの数本と、ドコモの「栄光のスマホ道」編だ。

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 ブックオフのほうでは、気弱そうな女性店員に向かって「あえてチャラくしてみよっか」と持ちかけ、

「ブックオフのウルトラセール ちょーヤバイんですけどぉー 本が全品20パーオフって 浮いた分でタピオカ飲めんじゃーん」

 と、実演してみせたりしていた。一方、ドコモのほうは、

「どうしてスマホに変えなかったんだ! スマホはいろいろ調べられるし 家族とすぐにやりとりができる スマホの輪にも入っていける スマホはとっても楽しいんだ! 機種代金も割引中!!」

 と、アジる内容だ。どちらも同じテイストなので、ツイッターなどでの反応も似ており、頻発されるのは「面白い」「ムカつく」といったワード。CM名が書かれていないと、どちらの感想なのか、わからないくらいである。

 それは取りも直さず、彼を起用したCMのスタイルがひとつ完璧に確立している証拠だ。そして「面白い」はもとより「ムカつく」という声でも、スポンサーとしてはしてやったりだろう。

 なかには、CMがむかつくのでテレビを消して、本やDVDを探しに近所のブックオフに行ったら、そこでも店内放送でCMが流れていた、と怒っている人もいた。宣伝効果は絶大で、無意識部分にまで刷り込まれているのかもしれない。

■中身としゃべり方のギャップ

 そんな「心くんCM」のツボが、あの独特のしゃべり方にあるのはいうまでもない。子供でもなかなかいないような、舌足らずな甘えた口調は、小学校低学年時にTOTOのウォシュレット一体型便器・ネオレストのCMで演じたリトルベン(菌の親子の子供のほう)役などで大いに活かされた。その口調は小5(11歳)になった今もそれほど大人びておらず、子役としての大きな武器だ。

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宝泉薫

宝泉薫

1964年生まれ。早稲田大学第一文学部除籍後、ミニコミ誌『よい子の歌謡曲』発行人を経て『週刊明星』『宝島30』『テレビブロス』などに執筆する。著書に『平成の死 追悼は生きる糧』『平成「一発屋」見聞録』『文春ムック あのアイドルがなぜヌードに』など

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