「僕も人間なので、弱い時は凄く弱い」

 過去に積み重ねてきた輝かしい数々の実績が、多くの人に大きな期待を抱かせる。世間からの“羽生結弦”という虚像と、強くあろうとする等身大の自分。その葛藤を何度も乗り越えたことで今がある。周囲からの期待は、羽生にとってのやる気の源でもある。「それが時にはプレッシャーになって、弱い自分が露呈してしまうきっかけにもなる」。そう吐露した上で言った。「でも、そのプレッシャーがあるから強くありたいと思う」

 羽生が自身に求める理想は高い。その高いハードルを、今でも越えようと悪戦苦闘する日々だ。12月のGPファイナルでは練習中に前人未到の4回転半(クワッドアクセル)を初めて披露。フリー『Origin』の演技では、ルッツ、ループ、サルコー、トーループの4回転4種5本に着氷してみせた。「自分ができるMAXの構成」――。それを完璧に演じ切るまで、競技者としての羽生の旅路は終わらない。