大人は思いつかないような、子どもの素朴な疑問や不思議。子どもの頃から、納得できる答えが得られないままになっていること。そんな質問に、テレビやラジオなどでも活躍する明治大学教授の石川幹人(まさと)さんがお答えします。ジャンルを問わず、答えが見つからない質問をお寄せください!(https://publications.asahi.com/kodomo_gimon/)。採用された方には、本連載にて石川幹人さんが、どこまでもまじめに、おこたえします(撮影/写真部・掛祥葉子)
大人は思いつかないような、子どもの素朴な疑問や不思議。子どもの頃から、納得できる答えが得られないままになっていること。そんな質問に、テレビやラジオなどでも活躍する明治大学教授の石川幹人(まさと)さんがお答えします。ジャンルを問わず、答えが見つからない質問をお寄せください!(https://publications.asahi.com/kodomo_gimon/)。採用された方には、本連載にて石川幹人さんが、どこまでもまじめに、おこたえします(撮影/写真部・掛祥葉子)

著者の愛猫、マリリン(写真:著者提供)
著者の愛猫、マリリン(写真:著者提供)

「人間は進化したら何になるの?」
「どうして、“わたし”は“わたし”なの?」

【石川先生の愛猫・マリリンはこちら】

 発想豊かな子どもの疑問に大学教授が本気で答える連載「子どもの素朴な疑問に学者が本気で答える」。子どもに聞かれて答えられなかった疑問でも、幼い頃からずっと疑問に思っていることでも、何でもぜひお寄せください。明治大学教授の石川幹人さんが、答えてくれますよ。第6回の質問は「人によって好きな食べものと嫌いな食べものがあるのはなぜ?」です。

*  *  *

【Q】人によって好きな食べものと嫌いな食べものがあるのはなぜですか?

【A】好き嫌いは食べものに毒が入っていても人類が滅亡しないようにする知恵です

 皆さんには食べものの好き嫌いがありますか。私は子どものころシイタケとセロリがきらいでした。どちらもその独特のにおいが苦手だったのです。大人になってシイタケは食べられるようになり、今ではその「うま味」が結構気に入っていて、焼いたシイタケに醤油をたらして食べています。一方のセロリは、いまだに苦手です。

 シイタケやセロリがきらいという人は多いのではないでしょうか。それは生まれながらに、それらの種類の食べものに含まれる可能性の高い、毒を警戒するからです。自然界の生き物には、毒があることが多いのです。山で見つかるキノコの多くに毒があることは、ご存じですよね。日本でもときどきキノコ狩りで過って毒キノコを食べて亡くなる例が報告されています。とくに植物は、動物と違って逃げることができないので、食べられないようにするために毒を作る習性があります。

 人間は雑食性でいろいろな食べものを食べるように進化しました。それはいろいろな食べものを食べて栄養をつけ、生き残る可能性を高める手段でした。ところが、逆に毒を食べて死んでしまうリスクも背負ったのです。そこで危なそうな食べものは、好き嫌いがなく食べる人と好き嫌いがあって食べない人を作り、人類全体として「毒はないだろうか」と様子を見ながら食料にする手段をとりました。

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石川幹人

石川幹人

石川幹人(いしかわ・まさと)/明治大学情報コミュニケーション学部教授、博士(工学)。東京工業大学理学部応用物理学科卒。パナソニックで映像情報システムの設計開発を手掛け、新世代コンピュータ技術開発機構で人工知能研究に従事。専門は認知情報論及び科学基礎論。2013年に国際生命情報科学会賞、15年に科学技術社会論学会実践賞などを受賞。「嵐のワクワク学校」などのイベント講師、『サイエンスZERO』(NHK)、『たけしのTVタックル』(テレビ朝日)ほか数多くのテレビやラジオ番組に出演。著書多数

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好き嫌いは人間だけ?