このほか、駅名板などの案内表示では書体をゴシック体から丸ゴシック体へと変更。路線のデザインも電車のイラストとマルコの組み合わせから、円の中に路線記号を入れる組み合わせへと変わりつつある。

■3「これから『走る/変わる』点」」ホームドア/延伸と新型車両/駅舎リニューアル

 民営化前にホームドアが設置されていたのは、南港ポートタウン線、今里筋線、長堀鶴見緑地線、千日前線の全駅、御堂筋線の心斎橋と天王寺。民営化後は谷町線東梅田と堺筋線堺筋本町を皮切りに、2025年度までに全駅へ導入される予定だ。

 同じく2025年の万国博覧会開催に向け、中央線コスモスクエア~舞洲(仮称)間の延伸計画が進められている。しかし、大阪港トランスポートシステムが同区間とその先の新桜島(仮称)までの第1種鉄道事業許可を取得。中央線大阪港~コスモスクエア間は第3種鉄道事業者として線路を管理しているなど、延伸に向けた課題は多い。

 大阪市交通局時代に「40000系」として発表されていた、中央線用新型車両の開発。一挙に30編成が投入される見込だが、現行の中央線車両は20編成なので、総入れ替えや万国博覧会終了後に他線へ転属させる可能性はあるだろう。

 駅舎のリニューアルが進むのは、御堂筋線新大阪~天王寺間と、中央線大阪港~森ノ宮間。すでに御堂筋線の新大阪と中津は工事に着手している。なかにはコンセプトデザインに批判の声が集まり修正を余儀なくされた駅もあるが、御堂筋線の梅田は2015年秋に終えたリニューアルからさほど年数が経っておらず、さらに淀屋橋、心斎橋、天王寺などのような“昭和の古き良き薫り”は令和の時代になっても絵になる風景だ。こうした鉄道遺産の保存や活用も、今後の課題といえるだろう。(文/岸田法眼)

○岸田法眼(きしだ・ほうがん)/フリーのレイルウェイ・ライターとして、『鉄道まるわかり』シリーズ(天夢人刊)『論座』(朝日新聞社刊)『bizSPA! フレッシュ』(扶桑社刊)などに執筆。旅や鉄道などを中心に著作を続ける。著書に『波瀾万丈の車両』(アルファベータブックス刊)。大の好角家。