八代~人吉間は球磨川に寄り添うように進み、峡谷に映える紅葉が車窓を彩る。人吉~吉松間は肥薩線のハイライトともいえる区間で、ループ線のさなかに設けられているスイッチバック駅の大畑(おこば)駅は、一度は体験しておきたい鉄道名所。矢岳(やたけ)~真幸(まさき)間の「矢岳越え」では霧島山系や加久藤(かくとう)盆地の展望が開け「日本三大車窓」に数えられている絶景が展開する。

 肥薩線のもうひとつの顔は、路線上に点在する鉄道遺産群だ。1908(明治41)年竣工の球磨川第一橋梁や03(明治36)年建築の木造駅舎が現役を務める大隈横川駅および嘉例川(かれいがわ)駅を始め見どころは多い。途中下車をしながら紅葉とのコラボレーションをカメラに収めてみてはいかがだろうか。

 なお、矢岳越えとなる人吉~吉松間の定期列車は1日3往復(いずれも普通列車)に限られるため、ルートづくりには時刻表のチェックが必須。うち2往復は「いさぶろう」「しんぺい」の愛称がつくが、1列車あたり7席以外は指定席となっているので、乗車の際には乗車券のほか指定券を用意しておくほうがいいかもしれない。

■里山風景のなかを往く昔ながらのディーゼル列車「小湊鐵道」

 温暖な気候に恵まれている房総の紅葉シーズンはこれから。小湊鐵道は、五井を起点に養老川に寄り添うようにして房総の内陸部を南下、終点の上総中野(かづさなかの)でいすみ鉄道と接続し房総横断ルートを形成しているしてる非電化路線だ。

次のページ
今も残る里山ローカル線の風景