新世代の韓国フィギュアスケーター、ユ・ヨン(Getty Images)
新世代の韓国フィギュアスケーター、ユ・ヨン(Getty Images)

 韓国女子フィギュア界が一時の低迷期を終えて中興期を迎えつつある。2010年バンクーバー五輪で金、2014年ソチ五輪で銀メダルを獲得した“女王キム・ヨナ”引退後、一時はグランプリ・シリーズに選手を送り出せない時期もあったが、今季は「韓国女子フィギュア、第2のルネサンス時代」(スポーツソウル)を迎えている。

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 そんな新時代への扉をこじ開けたのが、15歳のユ・ヨンだ。シニア・デビュー戦となった今季GPシリーズ第2戦のスケート・カナダでいきなり銅メダルに輝いた中学3年生の快挙に韓国のフィギュア・ファンが沸いた。

 というのも、そもそもユ・ヨンは3年前から“韓国フィギュアの希望”と期待を寄せられた有望株。東南アジアで事業を展開する父親の影響で1歳の頃からシンガポールで育ち、フィギュアをするために母とともに2013年に韓国に戻った彼女は、2016年韓国フィギュアスケート選手権で優勝。当時はまだ身長143センチの小学6年生だったこともあって“神童”と騒がれた。

 五輪出場資格である満15歳に届かなかったため2018年平昌五輪には間に合わなかったが順調に成長し、昨年からは宮原知子や紀平梨花を育てた濱田美栄氏に師事し、あのキム・ヨナも果たせなかった「韓国人女子選手初のトリプルアクセル成功者」となった。

 女子でも4回転ジャンプを飛ぶ高難度ジャンプ時代に突入した今、韓国でもポテンシャルが高いと言われているが、特筆すべきはこのユ・ヨン以外にも韓国では次々と有望株が頭角を現していることだろう。

 例えば、昨年のGPシリーズ・ロシア大会で韓国に9年ぶりの銅メダルをもたらしたイム・ウンス(16歳)は、長い手足を駆使した豊かな表現力から「キム・ヨナを彷彿とさせる逸材」と言われているし、2018年ジュニアGPファイナルに韓国人としてはキム・ヨナ以来13年ぶりの出場を果たしたキム・イェリムも今季からシニアにステージを移している。

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次々と頭角現す“ヨナ・キッズ”