沢尻容疑者に関しては、その類まれなる美貌と個性豊かなキャラクターで、CSフジテレビ721で放送され、今や“伝説のアイドル番組”となっている「アイドル道」などに出演していたグラビアアイドル時代から注目していた。

 その後、美貌だけではなく卓越した演技力も評価されて女優として頭角を現わし、ヤンチャなプライベートも含めて世間の耳目を集めた時期が、私事ながらちょうど自身が当時在籍していたスポーツ紙で芸能担当に配属された時期と重なったこともあり、取材対象者として常にその動向が気になる存在だった。

実際、彼女を知る複数の関係者を取材したり、母親が当時経営していた飲食店に足を運んだこともあり、自身の記者キャリアの中でもかなり力を入れた取材対象者の一人である。

■類まれなる美貌と才能をふいに

 世間的には「別に…」発言騒動のイメージが強く、離婚騒動の渦中に海外発の人気セレクトショップの日本初の路面店のオープンを記念して来店した際のドラァグクイーンを従えて集まった多くの報道陣を振り切り、車中からしてやったりの笑顔を浮かべていた姿はまさに“エリカ様”の真骨頂で、現場で振り回された一人として今なお印象深い。

 他方、長年取材する中で彼女と仕事をともにした関係者の中からは、「別に…」発言騒動のイメージとは真逆のプロ意識の高さや人柄の良さを称賛する声も多々あった。

 当時の所属事務所の後輩タレントである「ももいろクローバーZ」のメンバーに優しく丁寧に化粧の仕方を教えてあげて、笑顔で「頑張ってね!」とエールを送ったというエピソードは両者のファンの間では広く知られている。

 類まれなる美貌と才能を持ち、紆余曲折ありながらも女優としてさらなる輝きを放とうとしていただけに、何故その“強さ”を違法薬物との対峙に向けられなかったのか、そのことが本当に残念でならない。(芸能評論家・三杉武)

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三杉武

三杉武

早稲田大学を卒業後、スポーツ紙の記者を経てフリーに転身し、記者時代に培った独自のネットワークを活かして芸能評論家として活動している。週刊誌やスポーツ紙、ニュースサイト等で芸能ニュースや芸能事象の解説を行っているほか、スクープも手掛ける。「AKB48選抜総選挙」では“論客(=公式評論家)”の一人とて約7年間にわたり総選挙の予想および解説を担当。日本の芸能文化全般を研究する「JAPAN芸能カルチャー研究所」の代表も務める。

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