一方、トロロッソはノーポイントに終わった。ガスリーはレース終盤、レーシングポイントのセルジオ・ペレスと接触し、サスペンションを破損。16位完走扱いながらもピットでレースを終えた。トロロッソに復帰後は好調を持続しているだけに悔しい結果となった。クビアトはまたもや最終ラップで他車と接触してしまい、10番手でチェッカーを受けるも5秒ペナルティで12位となった。これで2戦連続ペナルティ。ドイツGPでの3位表彰台は「3強以外唯一」なのだが、終盤戦は厳しい走りが続く。非常にもったいない。

 2位のハミルトンはタイヤをいたわり、フェルスタッペンを抑え込んだ。そして6度目のドライバーズ・チャンピオンに輝いた。上にいるのは「皇帝」ミハエル・シューマッハただ一人だ。F1初の黒人ドライバーとしてデビューし、参戦2年目の2008年に初のチャンピオンを獲得したが、2回目は2014年までかかった。苦しい時期もあったが、ハミルトンは精力的にチームと協働し、素晴らしいマシンと環境を作り続けてきた。そのたゆまぬ努力に最大の賛辞を送りたい。

 ホンダの田辺豊治テクニカルディレクターは「実力で負けた」とコメントしたが、冷静かつ慎重な人だ。マシンをより速くする情熱は胸の中に必ずある。メルセデスにはまだ一歩及ばないが、フェラーリを含めた3強の中では大きな差がないことを結果で証明できた。ピットクルーの仕事も素晴らしく、タイヤ交換作業が最も速いのがレッドブル。ホンダ勢すべてのドライバーやスタッフの闘争心はまだ燃えている。シーズンは残り2戦となったが、存分に闘争心を見せてほしい。まだシーズンは終わっていない。(文・野村和司)