「走る哲学者」為末大さんが息子に英才教育をしない理由「子どもの“余白”を奪ってはいけない」 (1/3) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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「走る哲学者」為末大さんが息子に英才教育をしない理由「子どもの“余白”を奪ってはいけない」

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為末大さん(撮影/写真部・片山菜緒子)

為末大さん(撮影/写真部・片山菜緒子)

 世界陸上選手権2大会で銅メダルを獲得し、シドニー、アテネ、北京と3大会連続でオリンピックに出場した400メートルハードル日本記録保持者の為末大さん。「走る哲学者」と呼ばれ、これまで陸上競技のみならずビジネス向けの本も出版してきたが、10月に子ども向けの本をはじめて刊行した。タイトルは『生き抜くチカラ ボクがキミに伝えたい50のことば』。その内容は「『努力』は『夢中』に勝てない」といったアスリートならではの言葉だけではなく、「生き抜くためには、逃げてもいい」といった少しネガティブなものも入っている。なぜ、この本をつくろうと思ったのか。その深い理由を聞いた。

* * *
──子どもの頃から読書が好きだったそうですね。

 小学校に入るまでは、親が読み聞かせをよくしてくれたんですよね。本も家にたくさんありました。その影響で小学生の時は読書部にも入ってたんです。中学生になってからは陸上に集中していたので、活字に触れることはあまりなかったのですが、大学卒業後に遠征などで海外に行くことも多くなって、本を持っていくことが増えました。

──シャーロック・ホームズをよく読んでいたとのことですが。

 人間の心に興味があるんです。シャーロック・ホームズは、依頼者が部屋に入ってくると、服装やその人の雰囲気からどのような人かを推理する。それがとても好きで、自分もそういうことができる人になりたいなと思っていました。

 実は、これは陸上競技でも同じなんです。陸上は、結果がすべて数字で出るので、成功と失敗がわかりやすい。だから、練習でも大会でも、後で自分の行動を自分で振り返るわけです。競技をしている時は反射的に行動していることが多い。それを、終わってから「僕は何であんなふうにしたんだろう」と考えるわけです。

 競技だけではなく、後輩の選手に対して感情的になってしまった時も、後で「何でこんなふうに言ってしまったんだろう」と考える。そうすると、実は、「後輩の成績が伸びているので、嫉妬していたのかな」と考える。人間の心を言葉にするのが、好きなんだと思います。


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