気になるのは、彼ら4人のうち菊池を除く3人はすでに30歳を超えていること。特に田中とダルビッシュはいずれも右ひじを故障したことがあることから、かつてレッドソックスなどでプレーした松坂大輔(現中日)のメジャーでの晩年を思い出してしまう。高校時代から速球派でならした松坂はメジャー移籍後もレッドソックスで1年目に15勝、2年目に18勝と大活躍した。しかしトミー・ジョン手術後は球速が落ち、30歳前後でピークを過ぎた感が否めなかった。

 田中もダルビッシュも、松坂と同じく高校時代から甲子園で活躍してきた早期開花型の投手たちだ。そして故障の経験も同じ。長年の勤続疲労が年齢とともに表面化する可能性は否定できない。

 ちなみに30代半ばから後半以降も活躍を続けた野茂英雄(元ドジャースほか)や黒田博樹(元ドジャースほか)は甲子園の出場経験がない。野茂は社会人、黒田は大学経由でのプロ入りで、10代後半から20代前半の負担で比べれば松坂や田中、ダルビッシュよりも軽かった。

 もちろん、高校時代の過ごし方が30代以降の衰えに直結するとは限らない。かつてPL学園のエースとして甲子園を沸かせた桑田真澄(元巨人ほか)は身体能力に頼らない技巧派だったとはいえ息の長い活躍を続け、39歳にしてパイレーツでメジャーデビューを果たしている。

 田中やダルビッシュはもちろん、前田や菊池も含め、確かに今季の成績は芳しいものではないかもしれない。だが、それは来季もそうだということを意味しない。幸い、彼らのうち田中を除く3人は長期の契約を残している。

 ただし、長期契約には責任とリスクが伴うのが常。何年も続けて結果を出せずにいれば「不良債権」と呼ばれることになってしまう。来年が契約最終年の田中も含めて、来季は大事なシーズンとなるはず。そのためにも今季の残りで少しでも本来のピッチングを取り戻し、特に田中とダルビッシュ、前田には出場が濃厚なプレーオフでの快投披露に期待したい。