ヤンキースの田中将大 (c)朝日新聞社
ヤンキースの田中将大 (c)朝日新聞社

 今季のメジャーリーグもいよいよ終盤戦に突入。しかしここまでを振り返ってみて気になるのが、日本人先発投手たちが期待どおりの働きができていないことだ。

 今季は大谷翔平(エンゼルス)が打者専念のため、日本人の先発投手は田中将大(ヤンキース)、ダルビッシュ有(カブス)、前田健太(ドジャース)、そしてメジャー1年目の菊池雄星(マリナーズ)の4人。このうち、現地8月11日時点で勝ち越しているのは8勝6敗の田中のみで、その田中も防御率は4.64と褒められた数字ではない。

 今季の田中は好不調の波が激しく、大量失点するゲームが目立っている。歴史的なロンドン開催となった6月29日のレッドソックス戦では初回に2死を取っただけで6失点KOされ、7月25日には同じくレッドソックス戦で4回途中12失点と屈辱的なめった打ちを食らったのも記憶に新しいところだ。

 大型契約での移籍1年目だった昨季に故障で1勝どまりだったダルビッシュは、開幕から先発ローテーションこそ守っているものの、24試合に投げて4勝6敗、防御率4.43。5月から6月にかけて10試合続けて勝ち負けいずれも付かないという奇妙な状態が続いていた。球宴後の後半戦は6試合で2勝2敗、防御率2.83と本来の力を発揮しつつあるが、ここまでリーグワーストの26被本塁打の悪癖は解消されていない。

 この2人に比べれば、8勝8敗で防御率4.12の前田は健闘していると言える。7月は6試合で0勝4敗だったが、この4敗のうち3敗は3失点以下だった。ただし7月23日の登板から3試合続けて5イニングを投げ切れなかったのは懸念材料。今季は過去2年よりも先発4番手の座は安泰ではあるものの、長期離脱中のベテラン左腕リッチ・ヒルの復帰次第ではプレーオフではまたもブルペンに回される可能性は十分にある。

 そして一番深刻なのは菊池。24試合に先発時点で4勝8敗という星勘定自体はマリナーズが主力を相次いで放出して再建モードに入っている以上はある程度しかたないが、防御率5.34はいただけない。なによりダルビッシュをも上回って両リーグワーストタイの29被本塁打は、ホームランが出にくい本拠地で投げる機会が多いこともあって言い訳不可能だ。日本時代は奪三振率の高さでならしたものの、メジャー1年目の今季は1試合平均で6.7奪三振と空振りが取れずに苦しんでいる。

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つきまとうケガと年齢の問題