■現場では真面目でスタッフの信頼も厚かった

 クズキャラで注目を浴びたが、意外と仕事に対する姿勢は優等生気質があったクロちゃん。加えて、芸人としてのポテンシャルも高いという。

「5月にAbemaビデオで配信された、クロちゃんがお笑いコンビ・ウエストランドの相談にのるという企画でのこと。漫才は毒舌だけど毒舌で嫌われたくないという彼らの悩みに、『求められることをやらないとテレビの仕事はこない』と返答。さらに、『手数が多過ぎてネタが聞き取りにくく、やかましい』『バラエティで使えるピンとくるフレーズが言えない』など、本質を突くアドバイスを送っていました。また、別のバラエティ番組の『名前間違いネタにどこまで対応できるか』という企画では、『シロちゃん?』と話しかけられ『色違い、真逆』と即座に返答。『レッドちゃん!』に『TIMの子沢山の方じゃない』、『クローンちゃん』に『あーん、僕1人でじゅうぶん』、『クロマティ』には『巨人でそんなにホームラン打ったことない』と見事にツッコミ返していました。そんな切り返しの上手さは頭の回転が速い証拠。スキャンダルがないのはもちろん、その分析力から自分の役割を察する能力もあるでしょう。スタッフは安心して起用できると思いますよ」(前出の放送作家)

 クロちゃんに取材した経験のあるTVウォッチャーの中村裕一氏は、彼の魅力と今後についてこう分析する。

「笑えるかどうかはともかく、自分が何を求められているのかを察し、的確なコメントを提示し、行動に移せる瞬発力はさすがだと思います。私たちがテレビで目にしているのはあくまでも誇張された『キャラ』であり、裏では自分がMCを務める番組やイベントの台本を事前にしっかり読み込むなど、準備もしっかりとしているのでスタッフからの信頼も厚い。芸人としては非常にクリーンな存在と言えます。また、『水ダウ』をはじめ、ありとあらゆるドッキリを仕掛けられてきたため警戒心が異常に強くカンも鋭いので、ハニートラップにもそう簡単には引っかからない。以前インタビューした際、『(すべての人たちから嫌われている今の状態を)オセロのように一気にひっくり返したい』と語っていましたが、もしかするとその日も近いかもしれません」

 お笑い番組には欠かせない存在となりつつあるクロちゃん。クズっぷりだけでなく、頭の良さを生かした毒舌を加速させれば、さらなる新境地に到達できるかもしれない。(丸山ひろし)

著者プロフィールを見る
丸山ひろし

丸山ひろし

埼玉県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集業務に従事。その後ライターに転身し、現在はウェブニュースや、エンタメ関連の記事を中心に執筆している。

丸山ひろしの記事一覧はこちら