2002年組以降では、上記の秋田氏以外に、森岡隆三(解説者)、宮本恒靖(ガンバ大阪監督)の2人がJで指揮を執っているが、森岡氏は残念ながら就任1年半で解任の憂き目に遭っている。

「1からチームを作りたい」と2017年にJ3のガイナーレ鳥取の監督となった同氏だが、1年目はリーグ最下位の17位。厳しい現実を突きつけられた。巻き返しを図るべく、森岡監督は勝負の2年目に向け、クラブ側に環境改善を要請。練習拠点の米子市から試合会場の鳥取市で片道2時間かけて往復するのをやめて試合前日は前泊したり、バス移動を極力減らして鉄道や飛行機を使うなどの改善を図って、2018年に挑んだ。けれども、シーズン半ばにさしかかったの6月にまさかの解任。「このままズルズル行きそうなムードが漂った」と鳥取の岡野雅行GMも顔を曇らせていたが、将来を嘱望されたワールドカップ経験者監督がまたしても志半ばで現場を離れることになった。

 そして、もう1人の宮本監督も、就任1年目の昨季、2年目の今季ともにJ2降格危機に瀕する苦境を味わっている。ジーコジャパン時代には代表キャプテンを務めたインテリ指揮官は、ちょうど1年前の2018年7月にレヴィー・クルピ監督の更迭に伴って、U-23からトップ監督に昇格。ガンバの立て直しに全力を注いだ。就任当初は勝負弱さを露呈し、大いに苦しんだものの、守備組織を再構築し、攻守のバランスを整えると同時に、若手抜擢などの大胆なアプローチを行った結果、9月1日の川崎フロンターレ戦からリーグ9連勝。最終的には9位でフィニッシュし、見る者を驚かせた。

 そういう中、迎えた今季は2018年の名波監督同様、さらなる躍進が期待されたが、序盤からもたついてJ2降格圏に低迷。さすがの宮本監督も焦りをにじませた。5月18日のセレッソ大阪との大阪ダービーで高尾瑠や高江麗央、福田湧矢ら若手を大量抜擢して勝ち切ったあたりから浮上の兆しを見せつつあるが、7月7日のFC東京戦では首位に力の差を見せつけられるなど、安心できない状況にいる。クラブも協会関係者も日本サッカー界屈指のエリートである宮本監督の成功を祈っているに違いないが、今後はまだまだ未知数と言わざるを得ないだろう。

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成績を残せなかった監督たちの“共通点”は?