オリックスのアルバースも“厳しいマイナー生活”を経験 (c)朝日新聞社
オリックスのアルバースも“厳しいマイナー生活”を経験 (c)朝日新聞社

 タンパベイ・レイズに在籍するジャック・ラボスキーのインスタグラムには、スクールバスの写真が何枚もアップしてある。ただのバスではない。内部を改装し、ラボスキーはガールフレンドとそこに住んでいる。チームメイトと住まいをシェアしたのでは、彼女と2人きりで過ごせないというのも、理由の一つだろう。しかも、シェアの場合、一つ屋根の下で暮らすチームメイトは1人とは限らない。2~3人、あるいは5人だったりもする。

 けれども、もっと切実なのは金銭面だ。昨シーズン、ラボスキーはレイズから月1100ドル(約12万1000円)しかもらっておらず、オフに入ってそれもなくなった。住居を借りるよりも安く済ませるため、ラボスキーはバスで生活することにした。米メディア『Today(トゥデイ)』のジュリー・パネルらによると、購入費用は4000ドル(約44万円)。その4分の3は、契約金の3000ドル(約33万円)に充てたという。

 ラボスキーは、昨年のドラフト22巡目・全体660位だ。彼の後ろには、554人が指名された。そのことからもわかるように、100万ドル(約1億1000万円)以上の契約金を手にする選手はわずかだ。ちなみに、ソフトバンクのカーター・スチュワートは、ラボスキーと同じ年に全体8位でアトランタ・ブレーブスに指名され、申し出のあった約200万ドル(約2億2000万円)の契約金を断った。この額は、指名順位の相場からすると半分以下ながら、ラボスキーの契約金の600倍以上に相当する。

 球団からのサラリーだけでは足りず、オフに別の仕事をするマイナーリーガーも少なくない。ジムのトレーナー、店員、配達員、警備員、建設労働者、バーテンダー……。その職業は多岐にわたる。昨シーズンからオリックスで投げているアンドリュー・アルバースは、大学時代に取得した教員免許を生かし、臨時教師を務めていた。最近は、Uberドライバーとして生活費を稼ぐ選手も見受けられる。

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非英語圏の選手には言葉の壁も