歴史は繰り返すようだ。たとえば「社共」を「立憲民主党」に置き換えると、2019年の今日でも通用してしまう。学生は「頼りなさ」を感じたら、すーっと離れてしまうということか。

 1980年代に入り、時代がバブル景気に向かうなか、自民党は変わりつつあった。

「この時期、社会党こそが近代的な政党だという認識が崩れ、それまで封建的・反動的だと非難されてきた自民党こそが時代の先端を行っているという認識が、国民の間でも徐々に広がりました。『ジャパン・アズ・ナンバーワン』という本が出た頃です。それが東大生にも影響したのではないでしょうか。とくに東大の駒場キャンパスは、佐藤誠三郎教授をはじめ、中曽根政権のブレーンの拠点になっていました」(中北さん)

 自民党が国鉄民営化などの行政改革を推進したころであり、国民の支持を得ることになった。それが東京大生にも反映されたようだ。

 1990年代、自民党と社会党の二大政党による55年体制が終焉を迎える。自民党は分裂してさまざまな新党が誕生した。また、1990年前後に起きたリクルート事件、東京佐川急便事件などで政治不信が高まった時代であり、社会は変革を求めていた。

「1980年代末から90年代半ばにかけて、社会党・土井たか子委員長の『おたかさんブーム』、政治改革の機運の高まり、日本新党、新党さきがけなどの新党ブームがあり、これも東大生の意識に反映されていますね」(中北さん)

 2001年 民主党8.7% 自民党6.9%
 2004年 自民党13% 民主党12%
 2009年 自民党17.9% 民主党5.2%
 2010年 自民党16% 民主党7% 

 2000年代半ばから、第1次安倍政権や麻生太郎政権などで自民党に対する信頼は失われ、メディアの世論調査では民主党支持のほうが高くなることがあった。

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