カタール移籍でさらなる成長を遂げている中島翔哉(写真:getty Images)
カタール移籍でさらなる成長を遂げている中島翔哉(写真:getty Images)

 日本代表はメンバーが大幅に入れ替わり、強国コロンビアとの試合だったとはいえ、相手は新体制の初陣であり、ホームの親善試合であることを考えれば“チャンスを多く作り、PKで敗れたものの善戦”という評価では済まされない試合だ。

 ただし、切り取ればポジティブな要素、評価できるトライもあった中で、アジアカップを大会直前のけがで離脱していた中島翔哉(アルドゥハイル)の目に見える成長はフォーカスしないわけにはいかない。ドリブル能力やシュート力、ピンポイントのパスセンスは今回に始まったことではない。目を見張るのはディフェンスとオフ・ザ・ボールのポジショニングだ。

 前半の比較的大きなチャンスは、中島のインターセプトや味方の高い位置でのボール奪取を誘発したところから生まれていた。さらに相手ディフェンスの間に顔を出しながら、味方がシンプルに出しやすい場所にタイミングよく動いてパスを引き出すなど、プレーからビジョンを読み取れる。

 中島によると、そうしたポジショニングには感覚的な部分が大きいようだが、持ち前の天才的なセンスに加えてロジックの裏付けがなければ、あれだけ継続的に有効なポジションを取っていくことはできないだろう。

 とりわけ、守備のポジショニング改善については「カタールで、アルドゥハイルで監督にすごい言われるので(笑)、あんまり言ったら怒られるかもしれないですけど、それがすごく成長に繋がってます」と中島は語る。

「自分もいつもよりというか、これまでの代表よりボールを奪えていたと思う。そういうのを求めてカタールに行ったというのもあるので。もっと取れるチャンスもあったと思いますし、そこから攻撃できるチャンスもあると思うので、成長もできていると思いますけど、もっとやりたいというのはあります」

 中島のカタール移籍には多くの懐疑的な声があった。カタールというと「欧州よりレベルが低い」「ピークを過ぎた外国人の年金リーグ」といった先入観で評価されがちだ。実際に、全くそうした背景がないわけではない。

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カタールで出会った指揮官