現代サッカーは攻守がめまぐるしく変わり、同じフォーメーションから流れや相手との駆け引きで立ち位置が変動するものだ。アジアカップの決勝では相手の[5-3-2]に対して、[4-4-2]のままにしていたことで早い時間に2点を失い、その後ようやく守備では両サイドハーフが中に絞り、南野が中盤に落ちてアンカーをマークする[4-2-1-3]気味の形に変えて対応した。

 要するに[4-2-3-1]にするか[3-4-2-1]にするかだけでなく、そうした臨機応変さが求められる中で、究極的には[4-2-3-1]の布陣でも相手との駆け引きや流れに応じて可変できればいい。だが、限られた時間でそこまでのオーガナイズを完成させにくい代表チームにおいて、あらかじめ3バックをオプションにしておけば、少なくとも事前の準備でアドバンテージを取りやすくなる。

 ただ、3バックでスタートする形というのは普段から慣れていないと、基本的なポジショニングのミスや相手どうこう以前の機能低下を引き起こしやすい。佐々木翔(サンフレッチェ広島)や冨安健洋(シント=トロイデン)など、クラブやアンダーカテゴリーの代表で3バックを経験している選手は多少有利になるが、適性の確認も含めてトライしておきたいものだ。

 アジア杯のメンバーから大半が入れ替わり、5人の初招集選手がいるだけに、基本的なコンセプトを伝えるのが精一杯かもしれない。もしかしたらコロンビア戦は[4-2-3-1]で臨み、ボリビア戦で3バックにトライする流れも考えられる。3バックの採用は戦い方のバリエーションを増やすだけでなく、新たな競争を生み出す転機にもなりうる。

 例えば初招集の安西はクラブでは4バックの左右のSBを担うが、かなり攻撃的なキャラクターであり、ウィングバックでその性能を発揮すれば、より代表定着が見えてくるかもしれない。畠中も前所属の東京ヴェルディ時代に3バックを経験しており、左右の足を駆使したビルドアップや積極的なボール奪取がより生かされる。

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「新たな可能性」の発見は?