


「担当の美容師さんが、退職してしまった」「引っ越しで、新たに美容室を開拓しなければいけない」
【写真】サイト制作者のキロコさんと”ブサヘアモデル”の土佐みきよさん
こうした悩みを抱え、ヘアサロンを転々とする人たちのことを「美容室難民」と呼ぶらしい。仕上がりを見ても、どこかしっくりこない。細かくオーダーしたつもりが、どうにも伝わらない。
そもそも美容室の場合、その店に合う、合わないというよりは担当する美容師との相性によるところが大きい。要望をうまく汲み取ってくれる美容師に出会えればしめたもの。だが、それでもなおイメージ通りというわけにはいかない。他人から見れば大した違いがないことくらいわかっている。わかっているけど、当人の思いは切実極まりない。
「何でもいいから、こうなりたいという写真を見せてもらえるのが手っ取り早いです。ただ切るだけでよければ何センチと指定してもらえれば、その通りにカットします」
とは、都内のヘアサロンに勤務する男性美容師の声。だが、実際にイメージ写真を持って訪れる人は多くないという。
役者の土佐みきよさん(30)も、美容室に“写真”を持って行ったことがない。
「芸能人やヘアモデルの子って可愛いじゃないですか。そんな写真をみせたところで『あなたには似合わないよ』って美容師に思われているんじゃないかな……そんな気持ちになります。その髪型が似合う人は他にたくさんいるし、自分が似合うとも限らないし」
そんな思いを抱く人の声を拾ったかのようなウェブサイトがある。
その名も「BUSA hair(ブサヘア)」。サイトを見ると、「ブサイクしか載ってないヘアカタログ」という、どぎついコピーの周りに、髪をばっちりセットした男女の写真がずらり。コンセプトには、こう書いてある。
<ヘアカタログに掲載されているモデルはみな美男美女。ブサイクだと美容院で注文する際に写真を見せづらい。そこで、ブサイクしか掲載していないヘアカタログを使うことによって、注文のハードルを下げていきたい>
髪をセットしたばかりのモデルがふんわりとした光の中に包まれていたり、レンガ調の壁の前でアンニュイな表情をしていたりする写真こそ、一般的なヘアカタログの“あるある”だ。だが、このカタログは一味も二味も違う。