平成ノブシコブシの吉村崇 (c)朝日新聞社
平成ノブシコブシの吉村崇 (c)朝日新聞社

 ここ最近、バラエティ番組を見ている人の間で平成ノブシコブシの吉村崇の評価がにわかに高まってきている。そのきっかけとなったのは、昨年10月に放送された2つの番組である。同月6日放送の『水曜日のダウンタウン』(TBS系)では「中継先に現れたヤバめ素人のさばき方で芸人の力量丸わかり説」という企画が行われた。偽の生放送ロケ番組で、芸人がレポーターとして出演しているところに、雰囲気のおかしい一般人がしつこく乱入してくる。芸人がそれにどう対処するかというのが見どころだった。ここで最も上手く対応できていたのが吉村だった。奇声をあげたりして生放送を妨害する一般人に対しても笑顔を絶やさず、番組の空気を壊さないように巧みに対処していた。この企画はネット上でも大反響を巻き起こし、「吉村のことを見直した」と評価する声が多かった。

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 また、同月26日放送の『金曜★ロンドンハーツ2時間SP』(テレビ朝日系)では、親しい後輩芸人である渡辺直美が「結婚して芸人を引退しようと思っている」と吉村に嘘の相談を持ちかけるというドッキリ企画が行われた。吉村は渡辺に対して親身になってアドバイスを送り、切磋琢磨してきた過去を思い出して目に涙を浮かべる一幕もあった。これを見ていた渡辺も思わずもらい泣きをするほどだった。この企画でも「吉村のイメージが変わった」と感じた視聴者は多かったようだ。

 最近では1月26日に放送された『吉村崇、無人島を買う!』(日本テレビ系)という特番があった。無人島を買い取って、売れない後輩芸人たちが芸を披露するエンターテイメントの島にしたいという壮大な夢を持つ吉村が、実際に売りに出されている無人島に出向き、それを買うかどうかを決める、というもの。最終的には一番気に入った無人島で「2億円」という価格を提示され、即金で購入できる資金力がなかったため、3年間の支払猶予をもらうことになった。この番組では、破天荒キャラで知られる彼の豪快な一面にスポットが当たっていた。

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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