昨年はパドレスでプレーした巨人ビヤヌエバ(写真:getty Images)
昨年はパドレスでプレーした巨人ビヤヌエバ(写真:getty Images)

 いよいよキャンプインも迫ってきたプロ野球。ストーブリーグも一段落し、各球団の新戦力が話題となる時期だが、すぐに戦力になるのはやはり外国人選手になるだろう。そこで今回は活躍が期待できる新外国人選手について探ってみたいと思う。

 現時点で入団が発表された新外国人選手の中で、メジャーで最も実績を残しているのがビヤヌエバ(巨人)だ。2017年終盤にメジャーに昇格して12試合の出場で4本塁打を放つと、昨年は4月に8本塁打を量産してナ・リーグの月間最優秀新人選手にも輝いている。5月以降は大きく成績を落として2割台前半の打率に終わったものの、最終的に110試合に出場して20本塁打という結果を残した。バッティングスタイルは典型的なプルヒッター。左投手の甘く入ってくる変化球に対して強いタイプだ。身長は180センチとそれほど大柄ではないが、中南米(メキシコ)出身選手らしい鋭い体の回転が持ち味で、軽く振ったようなスイングでも飛距離は申し分ない。

 一方で課題と見られるのが確実性だ。左足を大きく上げて、グリップを下げてタイミングをとって体の前でさばくスタイルのため、逃げる変化球や緩急への対応力には疑問が残る。昨年の成績を見ても384打席で104三振を喫しており、20本塁打を放ちながら46打点にとどまっている。日本では徹底的に逃げる変化球で勝負されることが考えられるが、それをいかに見極めるかがポイントとなるだろう。参考にすべきなのはかつて巨人でもプレーしたロペス(DeNA)だ。四球は狙わず、とにかくファーストストライクを積極的に打つスタイルを貫くことが重要になる。丸、坂本、岡本といった中軸を打てる選手はいるだけに、まずは6番以降で気楽に打たせる役割を任せる方がチームにとっても本人とってもプラスになるのではないだろうか。

 ビヤヌエバと同様にパワーヒッターとして期待されているのがバルガス(ロッテ)とマルテ(阪神)の二人だ。バルガスは昨年はマイナー暮らしだったものの、2016年、2017年と2年連続で二桁本塁打を放ったスイッチヒッター。196センチ、133キロという巨漢が話題となっているが、その体格にふさわしいパワーが持ち味。左打席は比較的コンパクトだが、右打席では少しアッパー気味のフォローの大きいスイングで圧倒的な飛距離を誇る。イメージはかつてソフトバンク、ロッテでプレーしたフリオ・ズレータが近い。完全に打撃に特化した選手だが、パワー不足のチーム事情にはマッチした補強と言えるだろう。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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阪神マルテはメジャーで通算30本塁打